その昔、慌ただしい日々の暮らしの中でその生活臭はそれほど顧みられなかった。学校からの帰り道、道のあちこちで馬フンが匂い（多少の誇張）、木材やガラクタが庭や畑で焼かれ、裏口からは魚を焼く香ばしい匂いが漂ってくる、そんな日常だった。水洗トイレの普及を待つまで、あの偉大な労力の必要な車両が活躍し、道で遭遇するたび秘かにエンガチョを結ぶ習慣を子どもたちは持っていた。

　月日は流れ、もともと清潔好きな民族である我々は、生活の余裕とともにイヤな匂いを駆逐し始めた。

　ここまで前ふりにならない前ふり。

　
　今流れているファブリースのCMの音楽。

　月曜日に焼肉食べて
　火曜日は魚を食べた
　水曜日にタバコを浴びて
　木曜日は汗でグッショリ
　金曜日は湿った匂い
　土曜日はペットの匂い
　日曜日は親父が匂い
　どうすりゃいいの～


　実は結論から言うと、この日曜日のくだりが大好きなのだ。日曜日になって急に親父が匂い出すのだ。いったい親父に何が起きたのか？　。大丈夫なのか？　彼は救済されるのか？　ファブリース、お願い！

　このCMが流れると、日曜日のあたりでどうにも口元がゆるんでしょうがない。龍馬伝より存在感があるよ、ピエールさん。

　あ、前ふりは単なる懐古でした。