ガラクタ煎兵衛かく語りき

何がしたいんだ、君は。

アート/デザイン

(再び)このジャンルでいいんだろうか。

 夕刊だけじゃなく、どっこい朝刊にも投書欄はある。こちらは個人的な事柄ではなく、より幅広い意見が載せられている。で、今日の朝刊から。

 その前に予備知識が必要。北海道教育委員会が6千万円で売りに出されている絵画(藤田嗣治作-糸を紡ぐ女と少女)の購入を検討していた。その背景にはその絵を所有している画廊が、藤田の展覧会を昨年主催した道立近代美術館に働きかけがあったこと。さらに(自治体としての)北海道には美術品購入基金(残高約3億6千万円)があるので、道教委が文化振興の目的での購入が可能であるというわけだ。

 さらに予備知識。知事はそれに理解を示したが、道の財政難のおり、そのような高価な買い物は果して道民感情に沿っているのだろうかとの懸念をも表明、購入は時期的に疑問という意見だ。結局現時点で購入は断念された。

 おまたせ(ホントニ)、朝刊です。

 70代の女性がこんな意見を寄せていた。以下要約。
 
 「(購入は)この不況の沈鬱とした時代に、なんと文化の薫り高い良い話ではないか。(断念は)残念だ。では私から提案を。道民から一回の食費代を寄付する『一食献金』を募り、それで購入してみては。私のような年金生活者でもそれくらいはできる。『芸術で腹は膨れない』という親に育てられた私。TVの芸術番組で我慢してきた。友人の言葉で美術館に行き本物の力を肌で感じた。逝く前に何か善いことをしたい。貧者の一灯で購入した作品を美術館で誇りとともに味わうのも悪くない」

 以下煎兵衛の語り。

 格好いい!!!素敵だ! こういう前向きで座りの良い意見に接するだけで胸が躍る。

 ハタと考える。一食って幾らだろう? 意見は分かれるだろうが細かく500円と設定してみる。道民の数は約550万人。いや、絵は札幌に置くんだから札幌市民190万人でまかなおう。すると、

 500円×1900000=9億5千万円

 え?かるくオーバーする・・・・・、と考えた私は単純すぎる。頭の中に、三越の前で寄付金箱を抱えた自分の姿を思い浮かべる。それで190万人から集めきれるか?

 多くの寄付金を集めるのがいかに大変か私は良くわかっていなかった。一人や十人ではとうてい無理だ。組織が必要。

 急に少し厭な匂いが感じられる。寄付を募る団体には拭いきれない不信感を私は基本的に持っているのだ。


 でも投書した女性の考え方は素敵すぎる。まてよ、何人の寄付でできるんだろう。

 6千万円÷500円=12万人分

 12万人分かあ。やったことないから見当もつかない。見当もつかないけど、大変だということは、うん、わかるなあ。


 う~~~~ん、なんか、くやしいなあ。

 

 胸の奥の火がくすぶっている。