晴明伝説・民間信仰・音楽・漫画アニメ

陰陽師★瀬織津

自分の好きを表現し、具現化するところ

陰陽道概説2

その他

晴明伝説

『今昔物語集』や『宇治拾遺物語』などに現れる、晴明にまつわる数々の説話・霊験譚を端緒として、その母を狐とする「信太妻・白狐葛の葉」の異類婚姻による異常出生譚から神秘化が始まり、後世安倍晴明像は超人化し、その力は喧伝されて普及、各地に伝説を産みつけていった。

 天文や地形より運勢や家相・地相を占う占術は陰陽師のみならず、密教僧や修験者にも広まっていた。その為、晴明の伝説は宗教・流派の垣根を越えて、様々な立場の人達によって、全国各地に伝播されて行った。

 晴明伝説の主な伝播者は陰陽師(唱門師*)、修験者、僧侶(主に密教系)、祈祷師・占師の霊能力者、萬歳等の宗教的芸能者である。

*唱門師は民間の下級陰陽師

 陰陽師を含む民間の宗教者・芸能者はその職能より一般民戸からは下層と見られ、特別視・被賎視されていた。そのため、陰陽師達は宮仕えの晴明を始祖として唱え、その身が正統であることを主張する。それは晴明に仮託する事によって、自らの占いや祈祷の力を権威付けする為であった。

 晴明伝説は全国二百ケ所以上に点在し、その拡がりは一都二府十九県(一説に二十二県)に渡る。

東京、京都、大阪、福島、茨城、栃木、千葉、神奈川、山梨、長野、静岡、愛知、岐阜、滋賀、福井、奈良、和歌山、兵庫、岡山、広島、香川、福岡。

 伝説のタイプは、塚(墓)・石、水・井戸、社寺祠堂、屋敷、川・淵・滝、天文(星)、橋、辻など。

 いわゆる晴明塚や晴明井など名前が付されて残っている場合が多い。内容は怪異の占いから災害・害虫・害獣除けの祈祷、妖怪封じなど、民衆の求めに応じて危難を取り除くものが多く、中には好敵手・道満との対決に結びつくケースも有る。