ガラクタ煎兵衛かく語りき

ケータイ小説 (チガウッテ

日記

 以前、小木理子さんという方から『ケータイ持ってなくて不便じゃないの?』と言われた事がある。そう、私は持っていない。その答えのひとつとして今日あったことを話そう。

 札幌市内にはBOOK OFFのお店が23軒ある。昼前に、普段行けない地区のお店に入った。国書刊行会で10年前発行のM・ピークのあまり出回っていない本を350円で入手できた。嬉しい。CD3枚とともに会計を済まし、出口へと向かう。

 「もしもし」

 呼び止められた。すぐ後ろ。男の声だ。いろんなことを瞬時に考えた。

 『バレタ?』(いや、悪いことはしてないから)
 『レジに手袋を忘れた?』(1時間前に銀行のATMで忘れそうになったばかり)
 『そもそも商品を受け取ったっけ?』(鞄に入れたはず)
 『お尻に穴があいてた?』(ひとつはあいてるけど)

 私は混乱した頭のまま振り返り立ち止まった。背の高い若い男だ。見たことはない。店員ではなかった。サラリーマンらしくスーツを身につけ、左手には黒いブリーフケースを持ち、右手にはケータイを持って耳にあてている・・・・・、耳に・・・・・、ケータイ・・・・・。ケータイ!!

 呼び止められた私の横を、男はケータイに向かって何かしゃべりながら通り過ぎようとする。呼び止められた私は、『何ですか?』という雰囲気を醸し出しながら男の顔を凝視する(にらんではいないつもり)。男は目を合わせない。明らかに自分の「もしもし」が前を歩いていた”変なおじさん”を呼び止めてしまったことに思い至っている。店の出口付近のできごと。


 これでお話はおわり。この二人の男がその後どうなったのか、それはまた別の話になる。

 いや、ならない。ただその時私が思わず発した言葉だけをここに残そう。

 「彼は、・・・・・、20年前の私だ・・・・・」

 それはまた別の話になる。


#日記広場:日記

  • 我楽多煎兵衛

    我楽多煎兵衛

    2010/03/31 08:47:40

    ひふーむさん、コメントありがとうございます。

    そう、何かリアクションが得られれば納得はします。(かな?)
    別な例ですが、歩いていて、
    ずーっと声がついてくることがあります。
    たいていこちらが立ち止まって
    やりすごすことにしています。

  • ひふーむ

    ひふーむ

    2010/03/30 23:46:14

    あぁ、私も経験あります。。。。
    恥ずかしいですよねぇ・・・。

    でも、良くあることだと認識できたので、
    次回からは(ワザとらしい)照れ笑みを浮かべることにいたします☆