小説らしきもの

日記

小説書きました。
カテゴリは日記で(なぜに



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人の笑う声を聞くと一生幸せになれない

幼いころにかけられた呪い。

気まぐれな魔法使いが気まぐれに少女を見つけて、気まぐれにかけた恐ろしい呪い。

孤独な少女。

少女はいつもひとりぼっち。

大きな千年樹の木の下でうずくまって、ただ時間が流れるのを待つだけです。

何も出来ることなどない。

それは、わかりきったことでした。

少女は誰にも近寄りません。

誰も少女に近寄りません。

家族も友達も、誰一人として、少女を助けようとはしないのです。

何年も人に会っていません。

笑い声が聞けない。

自分が笑うことも許されない。

---いっそのこと、死んでしまおうか---

けれど、それすら少女にはできません。

轟々と音を立てて流れる川の中。

体はどんどん沈んでいく。

それなのに、苦しいだけで命を絶つことができない。

少女は憎みました。

呪いをかけた魔法使いを。

この泥沼から救い出してくれない親や兄弟や友人を。

幸せそうに笑う、すべての人を・・・

耳をふさぎ、膝に顔をうずめる。

嗚咽がのどにこみ上げる。

泣いたって何もならない。

けれど、涙の止め方を、少女は知らない。

泣きながら憎む。

世界の全てを、泣きながら・・・。

空から雫が落ちてきた。

冷たい雨が、涙に混じって頬をつたう。

「どうして君はこんなところで泣いているの?」

後ろから声がした。

話しかけられたのは何年ぶりだろう。

嬉しいのに、

少女はそれを喜べない。

「来ないで。」

少女は顔を上げずに冷たく言い放った。

「どうして?」

「あなたの声が聞きたくないからよ。」

「君と話しちゃだめなの?」

無言でうなずく。

---どうせ、私のことなんて助けてなんかくれないくせに---

少年は困っているようだ。

「暖かいところへ行こうよ。ここにいたら風邪ひくよ。」

と言って、少年は少女の腕をつかんだ。

少女の肩がぴくんと動く。

「嫌っ!」

少年の温かい手を振りほどく。

涙が零れる。

やっと手を差し伸べてくれる人が現れたのに・・・

私は・・・・・・

立ちあがって逃げようとした。

しかし、少年の素早さには勝てなかった。

再び腕を掴まれ、バランスを保てずにその場に崩れ落ちてしまった。

泣き叫んだが、何も聞こえない。

---どうして---

確かに声は出ているのに、聞こえなかった。

少年も何か言っている。

でも、キコエナイ・・・

雨の音も、自分の声も、人々の喧騒も、

何も聞こえないのです。

もちろん、笑い声も・・・。

少女は、聞こえない声で言いました。

「私の声も、あなたの声も、何も聞こえないの。でも、とても静かで、心地いい…。」

「え?」

少年には全て聞こえています。

聞こえていないのは少女だけ。

「もしかして、君の耳はもう・・・・・・」

「え?なに?聞こえない。」

「いや。なんでもないよ・・・。」

そう言って、少年は少女の手を握った。

とても温かい手が、氷のように冷たい手を包み込む。

振りほどこうとはしなかった。

少年はほほ笑んだ。

少女も笑う。

長いこと笑っていなかったから、上手に笑えない。

けれど、これからは笑顔になることが増えるだろう。

不思議な感情が少女をそう思わせた。





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>4月1日に修正しました。
 エイプリルフールっていうのがちょっと・・・




アドバイスと感想ください。

  • 月乃

    月乃

    2010/03/31 17:51:10

    すごいよ!!

    よんでてすごい気になる!!

  • 澪姫

    澪姫

    2010/03/31 17:28:55

    ほ~~
    すごい!!
    私もそうゆう小説かいてみようかな・・・・。