ガラクタ煎兵衛かく語りき

なみしろの頃

グルメ

 確かに吉野家は女性は入りにくいだろう。そもそも牛丼には【かっ食らう】イメージがある。お皿やお椀から箸で食物を口にもっていくというよりは、やおら左手で丼を顔の前に掲げ、右手の箸で口にかきこむ感じだ。

 では、親子丼や天丼の場合はどうなんだろう。皆さま優雅に食されているようだ。
 ひとえに”牛丼”のイメージが悪いのだろうか。



 さて本題。大昔の、私が20代の頃は吉野家勃興の時代だった。北海道には一軒もなく、ライバルの松屋もまだよちよち歩きだった。東京に行った私は、あちこちにある吉野家に狂喜し、たいへんお世話になった。20代である。一歩あるけば腹が減り、三歩あるけば腹が鳴り、十歩あるけば・・・・・、思いつかないので先に行く。
 一回の食事に一杯の牛丼では当然足りない。吉野家のカウンターに座る。お茶を手にした店員がやってくる。やにはに私はこう宣言する。

 「なみなみしろたまご!!」

 店員はお茶を私の前に置きニヤッと頷く。そして店の奥の厨房に向かって声を張り上げる。

 「なみいっちょう、なみしろいっちょう、ぎょく、お願いしまぁっすーっ!」

 30秒もしないうちに私の目の前に、「牛丼並」、「ご飯並」、「生卵」が並ぶ。
 詳細な食べ方はいささか恥ずかしいものがあるのではぶく。
 約5分で食事タイム終了。
 350円+100円+50円 = 500円(よく覚えているものだ)

 野菜を食べなきゃいけないなんて頭はない。なにしろ一歩あるけば腹が減り、三歩あるけば(以下略)なのだ。


 朝は朝で朝定食がある。今もあるがチト違う。昔は単純にA定、B定、C定しかなかった。Aは焼き鮭、Bは珍化なオムレツ、Cは納豆と焼海苔がメインディッシュで、それにご飯と味噌汁とお新香の3品がつく。値段は順番に320円、340円、270円だった(よく覚えているものだ)。
 私はこのC定が好きで、販売開始の午前5時になると待ち切れずによく行った。なにしろ(以下略)。


 当時は”つゆだく”などという無粋な注文はなかったし、店の中は活気に満ちていた。客も店員も若者が目立ち、やはり若かった私はその中で東京の活気を肌で感じ、すみやかに腹のなかに納めた。

  • 我楽多煎兵衛

    我楽多煎兵衛

    2010/04/17 13:20:41

    コメントありがとうございます。

    >こきりこさん
    立ち食いそばもそうですね。
    実は若い時には入れたのですが、
    最近はトンと行っていません。
    今度時間が無いフリをして行こうかな。

    >ひふーむさん
    やっぱり時代はテイクアウトなんですね。
    現在北海道は
    吉野家と松屋となか卯が多いかな。

  • ひふーむ

    ひふーむ

    2010/04/16 23:37:20

    香川と言うか、我が家の周囲には吉野家さんよりも、すき屋さんがいっぱいです。
    しかも、ほぼ、ドライブするー完備で!!

  • こきりこ

    こきりこ

    2010/04/16 09:18:22

    テイクアウトの吉野家牛丼しか知らないので、店内は未知の世界です。

    立ち食いそば屋と吉野家はいつか体験してみたいです。