キラキラ集め報告所

サーティーン

ニコッとタウンにあるキラキラを何処で手に入れたかの(ほぼ毎日)報告。あと、ニコッと関連の話をいくつか。

ファイブスターズ(仮)・4-4

自作小説

裏口から入ったクリル神殿は、正面から入った時とは全く逆の様相だった。
扉の向こう側は小さな食堂で、竈にはまだ小さな火が微かに燃えている。
そしてそこを出ると、通路になっていて、
真正面は、先程の大広間へと続くであろう扉。
左手は行き止まり。
一行は、リルルを先頭に奥へ歩を進める。
「ふんふん…【神官の部屋】に【厠】…【クリルの部屋】…ってこれだけ?」
「どうやら一人でも多くの信者を得るために自分達の空間を削除したのじゃろ?」
驚くリルルに、バルガスはそう言って小さく肩を竦める。
「涙ぐましいねェ」
「うむ。ただその方向性が間違っているがな」
チャーリーとマートがそうやり取りする中、ファリシアは無言で十字を切っていた。
(聖ファリスよ。他人の家に無断で踏み込むことをお許しください)

そんな中、リルルは慣れた感じでまずは【神官の部屋】の捜索を始め…
「…探る程の物はないわね」
彼女の言う通り、部屋は両脇に二段重ねの寝台と、洗面台とがあるだけだった。
「厠は多分何もないわね。となると残りは…」

続いて彼女は【クリルの部屋】の扉を開ける。
「…流石は“神の使徒”。一人だけ特別扱いかよ」
「…見た感じは、マザー・フレイアの部屋と似ていますが…」
「が?」
「何と言いましょうか…そう、品格がまるで感じられません」
「…確かに」
リルルに続いて部屋に入ったチャーリーとファリシアとの会話に、
マートが髭を撫でながら相槌を打った。
天蓋つきの寝台に、机と椅子、衣装箪笥に風呂桶。
しかし、どれもが素人が見ても判るほどの豪華な代物である。
「もしかして、信者達から集めた寄付で…」
「間違いないね。全く、ロクでもねェ“神の使徒”だな」
「ゴメン、一寸静かにして…」
ファリシアの疑問にチャーリーが一人で憤慨する中、
リルルはそう言って一行を黙らせ、踵で床を鳴らして部屋内を歩きだす。
「いっ…」
彼女の不可解な行動に、ファリシアは慌てて己の口を両手でふさいだ。

しばしの間の後。

「………やっぱり」
足音の微かな響きの違いを、リルルは聞き逃さなかった。
そこは部屋の片隅の何もない床である…が、
「素人の目はごまかせてもアタシの目はごまかせないわ」
そう言って、懐から短剣を取り出し、床の継ぎ目に差し込む。
そして梃子の原理で、床板を明けた。
「なるほど、隠し扉か。まるで遺跡のようだな」
(遺跡の探索には盗賊も必要…師匠の仰った通りだ)
リルルの手際の良さに、マートは素直に感心した。
「…穴に、縄梯子?」
それは扉の下に広がる光景に対するバルガスの呟き。
「どうする?」
「一刻を争います。とにかく下へ降りましょう」
「待って。それは明かりの確保をしてからでも遅くないよ」
「しかし…」
普通、火を起こすには火口箱が必要で、火種を作るのにも時間がかかる。
「お姉ちゃん。火種ならさっきの台所にあるはずよ」
そう言うや否やリルルはその台所へと戻っていった。
「…」
「ま、ここは彼女に任せようぜ」
自然と焦りの表情になっていたのだろう。
ファリシアの肩を、チャーリーはそっと叩いて言った。
ファリシアは返事の代わりに頷く。
程なくしてリルルが戻ってきた。
「お待たせ。じゃあ、まずはアタシが降りるから、
 そっちから光が見えたら、一人ずつ降りてきてね」
言い終える前にリルルは火の着いたシャッター付きのランタンを腰に吊るして、
縄梯子を降り出した。
「本当に手馴れてますねぇ。…やはり旅人の子は旅人。
 そんな感じでしょうか。私達とは違って」
「?」
エルシアの台詞に、何処となく違和感を感じたファリシア。
しかし、それを問う前に暗闇の中からキラリと何かが光った。
「すまんが、一番はワシが行かせてもらおう。
 何せこの装備じゃしな」
戦槌と小盾を腰に下げて、バルガスが縄梯子を降りる。
彼の纏っている鎖鎧の音が小さくなっていく。
そして再び穴の底から光が見える。
残る四人も、穴の底へと移動した。

「…」
そこは洞窟を連想させるほどの大きな穴だった。
そして、縄梯子の真反対側には人が並んで通れそうな通路の入り口となっている。
「じゃ、全員揃ッたところで行こうか」
チャーリーがそちらへ足を向けた時。
「待ってっ。この先に罠があるから」
リルルの思わぬ横槍に、チャーリーは思わず転びかける。
「な、何だ急にッ。脅かすなッ」
大声で抗議したいのを堪えつつ、チャーリーは彼女に問いかける。
リルルは答え代わりに入り口に進み、その手前で足を止める。
「…ほら、良く見て」
ランタンの光に照らされてるそれは、黒く染めた細い糸だった。
「多分、侵入者を知らせるための仕掛けだと思う。
 だからコレに引っかからないよう気をつけて」
と言って、ヒラリと糸を飛び越えるリルル。
「全く。こンな仕掛けまで作ッてンだ。ますます胡散臭ェな。クリルッて奴は」
そう悪態を付くチャーリーを含めた五人も無事糸をまたぎ越した。

  • グチ聞くよ

    グチ聞くよ

    2010/05/14 11:05:05

    【アビリティ】
    ・隠し通路発見
    ・罠回避
    ・ちょこまか動く

    FF5的に書くと、こんな感じですか。

    縄梯子を1人ずつ降りる 設定でほっとした俺でした

  • ラト

    ラト

    2010/04/30 06:57:12

    リルルのシーフとしての面目躍如の活躍ですね^^b