朝露

握った手

自作小説

少し冷たくて細い指
がっしりした大きな手
私の手は包まれるように
でもしっかりと握られる
応えるように
そっと握り返す
  
私たちは眠りについた
心地よい眠り
暖くて幸せで平和な眠り


「起きたか」
身体を起こすと青年がイスに腰掛けて紅茶を飲んでいる
「円も飲む?」
「うん」
頷くと私は彼の向かいに腰掛ける
「何か食べる?」
「今はいらない」
彼は応じない
無言
どれほど時間が経っただろう
彼は支度を整えると部屋を後にした
大人しく待っていろ
一言残して

ベルを鳴らす
彼の使用人がスーツ姿で現れた
食べたい物を告げる
使用人は私に対しても礼儀正しく一礼をして部屋を出る
使用人はしばらくしてから
焼きたてのスコーンにブルーベリージャムとサワークリームを添えたもの
それに
プチケーキ サンドイッチ 
おいしそう
「ありがとう」
使用人はまたも礼をして立ち去る
使用人がドアを閉めてから
食べ始めた