ひまわり畑を眺める一匹猫

招き猫

猫はただ、風に吹かれながらひまわりの花を観ていました。
まるで懐かしいぬくもりを思い出しているかのように。

春への幻想②

自作小説

2、猫

3年前、私はこの河川敷に猫を埋めた。

その猫は、私と半年間一緒に暮らした。

私はある雨の晩、彼女と出会った。

私の住むマンションと隣の家の間で、白い小さな命が鳴いていた。

仔猫だった彼女はお腹が空いていたのか、私が与えた餌を涙を流しながら食べた。

後でわかった事だが、猫は感情によって涙は流さない。

その時流していた涙は、空腹を満たして嬉しかったわけではなかった。

彼女の身体は、その時から病に犯されていたのだろう。


私は彼女を“ミント”と名づけた。

私はミントを風呂に入れ、一緒に暮らす事にした。

仕事に疲れた私は、ミントの愛らしい仕草に癒された。

ミントとの生活も半年が過ぎ、ミントは美しく成長した。

ところが、次第にミントは痩せていき、やがて餌を食べなくなった。

私は仕事から帰った後、ミントを近所の動物病院に連れて行った。

獣医の診断は、猫白血病だった。

ミントは次第に痩せていき、ある日曜日の夕方、私の腕の中で息を引き取った。

私はミントを抱き抱えながら、この川の河川敷にやって来た。

私は穴を掘ってミントを埋めた。

ミントは川の一部になった。


川は静かに流れてる。

失意のまま、私はここへやって来てしまった。

思えば、ミントを埋めたとき以来だ。

そう言えば、あの時も季節は春だった。

私はふと、川の上流に目をやった。

私のいる場所から10メートルほど上流から、白いビニール袋のようなゴミが流れてきた。

人影など全くない、真夜中の河川敷。

先ほど川上に飛んでいった水鳥が、今度は川下に飛んでいった。


春とはいえ、まだ肌寒い空気だったはずが、少し生暖かい風が吹いてきたような気がした。

そして、さっき見えていた小さな白いゴミは、だんだん大きく見えるようになってきた。

おもいのほか、大きいものだったのであろうか?。

そして、そのゴミは水の中を流れているものだとばかり思っていたのだが、それは私の見間違いだった。

ゴミと思われる者は実は陸にいて、次第に私に近づいてくる。

やがてその姿がはっきり確認できるほどになった。

それはゴミなどではなく、白いワンピースを着た若い女性だった。

私は驚きを隠せないでいた。


つづく

  • 招き猫

    招き猫

    2009/02/14 15:17:47

    KINACOさん
    う~ん、KINACOさん鋭いなぁ・・・。
    まぁ微妙なノンフィクションの部分もあるかもです。
    まぁ結末はおぉ!って感じを出しますんで、もし良かったら読んでやってください。

    春一番、吹きましたねぇ。
    今日なんか初夏みたい。。。
    日向は暑いっすよ~!
    そそ、藤棚ちゃんとやっとかないとね、5月にご褒美見れなくなっちゃうし。。。

  • KINACO

    KINACO

    2009/02/14 09:51:58

    フィクションか微妙なノンフィクションかは別にして、
    結構不思議な経験って、人間するもんでして、
    経験者が、肯定する?肯定する?って話だよね。

    そうね、もうすぐ春ね。
    昨日、春一番が吹いたわ。

    【3】楽しみにしてます。
    出張は、延期に急遽なったし、山に帰って明日は村人総出の【藤棚掃除】だわ。