今日は宇多田ヒカル２枚目のアルバム「Distance」を振り返る。

1    Wait & See～リスク～
2    Can You Keep A Secret ?
3    DISTANCE
4    サングラス
5    ドラマ
6    Eternally
7    Addicted To You
8    For You
9    蹴っ飛ばせ！
10  Parody
11  タイム・リミット
12  言葉にならない気持ち
13  HAYATOCHI-REMIX


　1stからの編曲陣に大幅な変更はない。３曲ほどアメリカの有名プロデューサーを起用しているが特に違和感はない。

　優劣が激しい”と評したアルバム各曲だが、それは今作でも若干言えるようだ。シングルで切られた1. 2. 7. 8. 11.と表題作の3.の６曲以外でこれといった秀曲はない。ただ彼女としては珍しくラウドロックに挑戦したと思われる5.は異色だ。

　3.の「DISTANCE」は次のアルバムに収録されシングルになった「FINAL DISTANCE」の原曲、最初のヴァージョンである。そしてこの「DISTANCE」が実はこのアルバムの中で一番好きな曲なのだ。

　シンプルな音数、軽やかなリズム、なんとも可愛らしい佳曲である。発売当時のうきうきとした春先にぴったりだった。後におどろおどろしくアレンジされた「FINAL～」とは対照的である。

　この2ndアルバムは1stよりも衝撃的ではなく、3rdよりもまだ未成熟だ（当たり前か）。今考えると難しい時期にあったはずだが、この「DISTANCE」１曲だけがなぜか早春の野原に吹きわたる心地よい風のように感じられる。そう、アルバムジャケットのように。