フリージア

叶わぬ願いはもういらない…4

自作小説

 事務室を後にする。校内は、相変わらずガランとしていて静かだ。
 事務室の近くにある喫茶スペースに向かい、自動販売機でコーヒーを買った。一口飲んで改めて頭の中を整理する。
 俺はルミの夢見て目が覚めた、昨日と変わらず夏の暑さをすぐに感じる、しかし、嫁いだ姉はまだ結婚していないという、母親も取り合ってはくれない、俺の髪の毛が二年前の長髪に戻っている。
 そして、いつものように大学に来てみれば試験はもう終わっており今日から夏休み。
 わからない、どうしてこんなことになったんだ?俺のルミへの強い想いがそうさせたのか?これからどうすればいいんだ…
 どうすればいいのやら途方にくれて僕はキャンパス内にあるベンチに座った。
 「タイムスリップか・・・・こんな事話しても誰も信じてくれないだろうな」
 大学のガラスが光の加減で自分の姿を反射させ。、少し遠目に自分の懐かしい姿を見て、いつもよりも鮮明に記憶を思い返す。

 まず頭に浮かぶこと、それはルミと出会った年だということだ。
 彼女と過ごした時間、一年間という決して長くない時間を普段と同じく、いやより深く噛み締めて思い出した。
 この時期、ルミと母校の高校野球県予選決勝の舞台、県立球場で初めて逢ったんだ。僕の高校時代の同級生が某女子短大に入り、そこでルミと友人になったそうだ。その時は高校の同窓会みたいにクラスのみんなが集まっていて、ルミ一人だけ違う高校なのに応援しに来ていたんだ。何故彼女がここに来ているのか不思議に思い、僕が声をかけたのがその後の付き合うきっかけだった。


 感慨にひたりながら空を見る。
 「晴れてるな」
 携帯が鳴った。型の古い携帯だが着メロはしっかりとしていた。画面の表示は神田と出ている。
 「もしもし」
 「成二、何処にいるんだよ。今日は野球を見に行くって言ってただろう。みんなも待ってるんだぞ」
 懐かしい様な、いつも聞いている様な声が耳元に響く。
 「野球?県予選か!」
 「決勝は応援しに行くって言ってたろ?甲子園に行けるかもしれないのに」
 「そうだったな、悪い悪い」
 そうか、県予選決勝は今日だったか。
 「今から車で迎えに行くから、何処にいるんだよ?」
 「大学だ」
 「もしかして、おまえ夏休み間違えたか?」
 「そうだよ」
 電話を切る。友達の声を聞いて少し安心した。タイムスリップはしても僕の友達はちゃんといる。

 そして、もう一度ルミと出逢うことができるんだ……そうだまったくのフラットな気持ちで逢える、僕はこう思う、やり直そうと。
 

  • ゴールデンウルフ

    ゴールデンウルフ

    2010/08/21 00:32:45

    マコトさんへ

    やり直したいポイントは俺にもありますよ
    特に恋愛に関しては…って暗くなっちゃダメダメ^^

    さあ、どうなるのか、お楽しみに♪

  • ゴールデンウルフ

    ゴールデンウルフ

    2010/08/21 00:30:12

    黎菜さんへ

    青春ですね^^
    でも黎菜さんはその青春真っ只中なんですよ
    羨ましいな♪

  • マコト

    マコト

    2010/08/20 23:47:31

    こんばんは。

    成二クンのやり直したい気持ちがそんな現実を作り上げたんでしょうか?

    …私の人生でやり直したいポイントはどこだろう、なんて考えたりしました。
    ドキドキしながら次の展開待ってます。

  • 黎菜

    黎菜

    2010/08/20 22:46:56

    いいですね~(^▽^)
    青春って感じです!
    タイムリップって言葉も良いですね^^
    『時をこえる少女』を思い出します♪