フリージア

叶わぬ願いはもういらない…11

自作小説

僕は神田と別れ、昼食をとるために大学に付属されている食堂へと向かった。
 食堂は去年一新されてかなり小奇麗になった。ちょっとしたカフェのように。
 食堂には今日でテストが終わった学生たちがたくさんおり、楽しい会話が飛び交っている。僕は注文してすぐに出てくるカレーを頼んで、空いている窓際の席に座った。
 まったく食が進まず温かいカレーを持て余していると、隣に同学年の木下が座ってきた。木下は同じ高校の後輩だったということで授業中に意気投合し、よく一緒に授業を受けている。木下はA定食を持ってきていた、美味そうだった。

 「モトさん、お疲れっす」
 「おっす、お疲れ。おっ、定食美味しそうだな、俺もA定食にすればよかったな」
 「あの~、突然で悪いんですけど」
 木下は前置きもなしに話す、そんなときは突然のコンパの話だと思われ。
 「今日空いてますか?コンパがあるんですけど」
 やっぱりコンパだ。近頃、夢でしか聞いていない言葉だな。しかし、いつ聞いても高揚しない言葉だ。
 「こっちの人数が1人足りなくて、やっぱり人数が合わないとマズイですし、しらけるじゃないですか」
 「うーん、こっちは他に誰が来るの?」
 「高木と町野が」
 この二人も高校の後輩。聞きなれている名前、代わり栄えしない名前だ。まあ、知らない奴より安心はするけど。
 「なーんだ、じゃあ、いつもの三野高校グループか。他にいないの?コンパ好きの寺田はどうしたの?」
 寺田は3年から始まったゼミで知り合った男で、なかなか面白く僕たちの集まりではムードメーカーだ。彼がいるとコンパの盛り上がりが良く、コンパでは頼りになる存在だ。
 「それが、あいつ彼女できたんですよ昨日」
 「へー、良かったじゃん。あいつ彼女できるの初めてなんじゃないの?」
 なんか聞きたくなかった、あいつが彼女いるのになんで俺が?そんなやっかみを考えている人はたくさんいるんだろうけど。でも祝福しなきゃな。
 「モテナイあいつが信じられないっすよ、さっき写真見せてもらいましたけど、年下の子でなかなか可愛かったです」
 「ふ~んそうか、で、俺は寺田のピンチヒッターか」
 「縁起悪いですけど、お願いします」
 十分ほど前の神田とした会話を思い出す。
 『じゃあ、忘れるんだな』
 簡単なことじゃないがルミを忘れる決断しなければならなった。新しい恋が始まるかもしれないんだ、その切欠があれば積極的になろう。
 僕は行くことにした。
 「わかったよ。じゃあ何処で何時?」
 「助かります。街のスクランブルに5時半です」
 「了解…ところでさ、テストどうだった?」
 「ぜんぜんダメでした」
 「そうか……」
 今日の夜に楽しいコンパがあるというのに、落ち込む2人。家に戻るのもめんどくさいので、大学内で時間をつぶし、男4人で一緒にコンパへ行くことにした。


  • ゴールデンウルフ

    ゴールデンウルフ

    2010/08/30 00:13:57

    マコトさんへ^^

    そうですね、勇気が必要ですね

    ネタバレになるので言わないでおきましょう^^
    お楽しみに^^

  • マコト

    マコト

    2010/08/30 00:06:26

    こんばんは。

    新しい第一歩を踏み出す勇気が必要な時もありますよね。
    この展開で新しい恋になるのかはビミョウな気もしますが。

    さて。次のストーリー楽しみにしてます。