新小説プロジェクト(?)第1作品『気分は雨時々曇り後晴れ―非日常の世迷言―』
第16話『狐啼キたるマデ』
part5

私は、黒羽君と共に行動していた。
日常とあまり変わらない気がするが…
黒羽｢あの、代理…｣
月夜｢やめてくれる?それじゃあ嫌な思いしかしないんだよ…｣
黒羽｢あ、そうですね、それじゃ学校といるときみたいですもんね。つまり、デートのようにと…｣
月夜｢いや違うからね?!そういう意味じゃないからね!!｣
黒羽｢そうですか…少し残念です…｣
月夜｢え?なんか言った?｣
黒羽｢でもまぁ、少しはデートのようにしてもいいですよね?｣
月夜｢土地神が見つかるまでな｣
黒羽｢ありがと、月ちゃん｣
月夜｢つ、月ちゃん!?｣
黒羽｢いいじゃん、恋人同士みたいで(今だけ、せめて今だけでも死神の落ちこぼれの私でも)｣
全くだ…後にこの愛称がかなりの程広まるとは…知る由も無かった。
黒羽｢月ちゃん…｣
月夜｢なんだ?｣
黒羽｢あの…｣
月夜｢だからなんだよ…｣
黒羽｢遊園地…｣
月夜｢お前はあほか?｣
黒羽｢いや…でも行きたいなぁって｣
月夜｢…それにしても見つからないな…そういえば一人かなり子供っぽい土地神がいるらしいな…｣
黒羽｢じゃ、行きましょうよ!｣
月夜｢だめだ!｣
黒羽｢何故ですか!?｣
月夜｢遊びに来てんじゃねえよ!!｣
黒羽｢そ、そんなぁ…でも土地神も遊んでるかも知れないんですよ?…それに、一度は行きたいと思ってたし…｣
月夜｢あぁ?なんだって?何か言ったか?｣
黒羽｢な、何もありません!もう結構です!月ちゃんはかなりの意地悪だったんですね!｣
月夜｢えぇ～っと…｣
黒羽｢聞いてないです…｣
月夜｢ココか…土地神がいるのは…って…本当に遊園地に来ちまった…｣
黒羽｢ココではなかなか見つからないですよね…｣
月夜｢人気みたいだしな…｣
黒羽｢では、上から見ますか…｣
月夜｢観覧車に乗りたいだけだろ?…とりあえず息抜きだな…｣
観覧車に始まり、絶叫マシーンを連続で乗り…
お化け屋敷にも行き…
死神の癖にお化け屋敷で怯えていたのは笑いかけたが。
月夜｢よし、じゃあ土地神探すか?｣
黒羽｢へっ?まだ……｣
月夜｢まだ?｣
黒羽｢遊びたい……です｣
月夜｢あほかお前は!!｣
黒羽｢ってきりもうデートに完全移行したと…｣
月夜｢…はぁ…｣
?｢ため息をすると、幸せが口から出て行くそうじゃぞ｣
不意に声が聞こえた。
子供っぽい声と…それに双対するような口調。
黒羽｢ど、どこですか?!｣
?｢童か?童ならばココにおるぞー。｣
ささやきかける様な声色で言う
黒羽｢あっ、そ、そんなところにいたら落ちますよ!｣
?｢童を子供扱いするでない!こう見えてもそこのノッポよりも年上じゃぞ｣
黒羽｢ノッポ?｣
そうだ…聞き覚えがあると思っていた…
?｢そうじゃ、そこのノッポは童の下僕なのぞよ!｣
月夜｢いつ下僕なんかになったんだよ…｣
?｢うむ、その突っ込み…かわらんのぉー｣
黒羽｢あの…誰なんですか?｣
?｢うむ、そうじゃな…童は昔そのノッポと一緒に消えた土地神を探してたのじゃ｣
月夜｢そしてそこのチビは勝手に消えてった…土地神と同じくな…｣
黒羽｢だったら何故今この子は…?｣
?｢童を子供扱いするでない!…それが分かれば苦労しないと言ったところじゃな…｣
月夜｢ってか名乗らないのか?｣
?｢おぉ、そうじゃったそうじゃった!ｵﾎﾝｯ!童は、恐れ多くも元夜の神、ツクヨミじゃ｣
黒羽｢ツクヨミ?…｣
月夜｢あぁ…その名前を聞いたらまた蹴り飛ばしたくなった。｣
ツクヨミ｢そ、そのようなことをしたらどうなるかわかっておるのか?!｣
月夜｢大丈夫さ…もうおれたちゃ神じゃないんだからよ…たぶん｣
ツクヨミ｢お主も、心が読めぬようになったのか?｣
月夜｢あぁ…｣
ツクヨミ｢それだけではまだ神のようじゃぞ｣
月夜｢本当か?｣
ツクヨミ｢経験者じゃからの｣
黒羽｢二人はどういう関係だったんですか?仲が良いようですけど｣
ツクヨミ｢だから童の下僕じゃ｣
月夜｢違うよ…周りからはバカップルと呼ばれてたが…ただの倒さねばならぬ味方だ。｣
ツクヨミ｢ぷっぷははははははは!まだその言葉を覚えていたとはな!｣
月夜｢お前の数少ない名言だからな｣
黒羽｢で、土地神は見つけないのですか?｣
ツクヨミ｢あ、言い忘れていたようじゃが、土地神ならばすぐそこにいるぞ…｣
月夜｢ってかお前がそうなんじゃないのか?｣
ツクヨミ｢童ではなく、こいつじゃ｣
??｢どうも…この月吉町道影町三区(みちかげちょうみく)を統べる者、道影　三國と申します。｣
黒羽｢他の土地神とは違って異端のようですね｣
三國｢はい…｣

続く

今日の名言
『得られない物は何も無い!手ではなく心を伸ばせば必ず!』

以上!