TAKEのつぶやき

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TAKEのつぶやき

☆手水廻し

お笑い

この落語はもともとは上方の「貝野村」という噺の後半部分です。前半と後半を分けても問題にならないくらいのものなので、時間短縮の意味もあって、現在の形になったものと思っています。興味ある方はぜひ「貝野村」も聞いていただきたいと思います。(ただし、「貝野村」を演じる落語家は少ないそうです。)
ところで、この手水というのは、もともとは昔のトイレの前に置かれていた手洗い用の鉢「手水鉢(ちょうずばち)」から出たもので、「手水を廻す」というのは顔を洗うのに洗面器に水を入れて持ってくることと思ってください。つまり、この噺は「手水」という言葉を知らないと、面白みが半減するので、最近ではマクラでその説明をしてから始めることが多いそうです。他にも知ったかぶりを題材にした落語は多いのですが、その中でも傑作といえそうです。

【スジ】
大阪のとあるお店の若旦那が、少し前に暇をとった丹波の貝野村から来ていた女中を嫁にしようと思うが、娘の親は「一人娘だから一晩だけ泊まって、村のしきたりで婿入りの式をしてから大阪へやる」と言う。
婚礼の翌朝、若旦那は「ちょうずを廻してくれ」という。しかし、村の者は誰も意味が分からない。そこで村の物知りの和尚に聞くと「ちょうずとは、長い頭と言う事だから長い頭を廻すこと」と勘違いする。そして、村一番の長い頭の者を連れて来て、若旦那の前でグルグル頭を廻し男は気を失う。あまりのことに「恥をかかされた」と怒った娘は若旦那を連れて大阪へ帰ってしまう。
娘の父親は大阪に親戚ができたのに、またこんなことになっては貝野村の恥だと思い、使用人と二人で大阪の宿まで出かけてその意味を探ろうとする。しかしまたしても勘違いをしてしまう。
早朝に「ちょうずをまわしてくれ」と頼むと、金たらいに熱い湯とお皿に塩と歯磨き粉、房楊子が運ばれてくる。二人は、これを朝の食前の飲物だと思って、塩と歯磨き粉をたらいに入れ、房楊子でかき廻して、二人で交互に飲んでしまう。
そこへまた女中さんがもう1人前持って来る。

「残った一杯はお昼に頂きます」