「あ 2/3人目」
「a」アルファベットの最初の音、最高ランクを意味するAの小文字。一つの、一種の、最中で。そうして、私は一人になる時、思うのだ。
I’m a special human in a world. What a wonderful loneliness. この世の「地球」というより、「世界」というものは一つしかないと日々私は考える。概ね、周りにちやほやされた時に、だ。だって、そうじゃない。〝IF〟の形で世界が二つあったとしても、私はそれを知り得ないから「二つ目の世界を認識しない」はつまり「世界は一つ」と同義語。
第一、世界が二つあるのなら周囲の人間は今の自分を受け入れているはずだ。
二つ目の世界にいる二人目の自分は、そこでもう少し上手くやっているはずだと夢見ながら、慰めながら。 私のいる唯一無二の世界に、同じ事象は何一つない。
オリジナリティに満たされ、ひどく滑稽に見える。他人と似ることを恐れつつ、もっともっとと自身を求めて張り切り、空回りをする愚か者達。
無いものねだりは己を滅ぼす。美しい、と言われる。たおやかだ、とも。だが、それだけだ。媚を売るには見た目を褒めるべきだろう、といった浅い考えからの安い言葉には微塵も反応しない。何を言われても、唖のように黙り込む。
外面を晒すことは避けられない分、内面は絶対に見せない。徹底した孤独主義は周りをどんどん遠ざけた。別に構わない。ロンリーガール? 笑わせないで。人は皆一人だ。この世界が一つで成り立っているのだから、人も一人であるべきなのだ。誰とも干渉せず、個であり孤であるべきなのだ。実に無味乾燥。
ハイヒールの側には、醜く蛙が一匹、潰れていた。
「a 2/3人目」
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文芸部での無理難題2作目。