「時のかけら」

あき☆元綵

ここは「あき☆元綵」(はじめあき)の気ままなプログです。
趣味である創作活動の小説やアクセサリー作りなどいろいろ呟いてみたいと思います。
更新も不定期ですが、ゆっくりしていってください。
コメントをもらえると大喜びしますので、よろしくお願いします(笑)
伝言板も「伝言板」のカテゴリーに作っておりますので、気楽にどうぞ♡

創作小説「WANTED」1

自作小説

シリーズの新しい短編でーす。
今回はちょっと恋愛色が強いかもですよw

「平行世界シリーズ」番外

    WANTED



●プロローグ



 街中で、少女がひとり、佇んでいた。

 当たり前だった日常が壊れたことに、ようやく気付いた幼い日。

 突然の事故で亡くなった両親。

 気が付けば葬儀も終わり、自分の一番安心できる場所がなくなっていた。

 手元に残ったのは、母が大切にしていた、鍛冶屋の父が過去に鍛え上げたと聞いた一振りの剣。

 行き場のない自分を迎えに来てくれたのは、父の縁戚だった。

 ひとり抱え込む自分の側に、一人の少年が駆け寄ってくる。

 最近、知り合った年上の少年。

 ふらりと現れては街を共に冒険して遊んでいた相手だった。

「これから、どこに行くの?」

「…わからない…」

 幼い自分には伯母の住む場所が理解できていなかった。

「また会えるよ」

「ほんとに?」
「うん。絶対に」

 約束とつないだ手が暖かくて、とても安心できた。手をつないで街中を走り回った楽しい記憶がよみがえる。

「じゃあディアが大きく…16になったら、僕のもとへおいで」

「うん、わかった」

 幼いあの頃に交わした約束は、素直に信じることができ、確かにココロの支えになっていたのだ。

 
             ●


 

 アルカディアは建物から溢れる光を頼りに、薄暗い路地を家へと急いでいた。

 街の酒場には仕事帰りの人々が溢れ、酔っ払った人が道端で寝転んでいる。昼間とは全く違う賑わいがあった。

『これが夜の街か……』

 仕事の届けもので遅くなってしまった。

 十年前に剣職人の両親が死に、父の姉の伯母さんが私を引き取り(二人には子供がいない所為でもあるが)ここまで育ててくれた。

 ずっと世話になっているわけにはいかないと父譲りの手先の器用さを最大に利用して手作りの装飾屋を始めたのは2年前。

 最近では商品の受注も増え軌道に乗ってきて、一人で生活できるようになった。

 でき上がった髪飾りや首飾りを届け終えると日はすっかり暮れてしまっていた。

 ここは商業の国・テニトラニス。

 北陸の南に位置する小さな国ではあるが、港は北と南の大陸の航路がつながれていて、定期船・商業船の往来が盛んで、発展している国だ。

 港町には毎日いろんな国の人が集まりにぎわっている。

 夜はガラの悪い連中がいるから、ひとりで歩くんじゃないよ。とよく伯母さんに注意されていたのだが、これは仕方ない。

 アルカディアは家へと急いだ。


 

「よぉ、ねーちゃん。こんな所に一人でいないで、我らに付き合えや」

 酔っ払った4人の男達の横を通りすぎる時に突然声をかけられ、腕をつかまれた。

 言葉の感じから地元の者ではなく、南大陸から海を渡ってやって来た者らしい。

「そんな暇ないよ」

 つかんで来た手を払いのける。

 生まれと商売上、気の強さは自他供に認めている。

「なにをぉ~、この女ー」

 酒に酔って気が短いのか、断られた事で更にしつこくなる男達。その一人が勢いで腰に下げている剣の柄を握る。

「こんな所で一戦交えようとでも言うのか?」

 驚き怖がっておとなしくなると思っていたらしい男たちは、彼女の毅然とした態度にイラ立ちながらも、

「ほぉ、女のくせに剣が怖くないのか?」

と、機嫌を伺うようにヘラヘラ笑いながら近付いて来る。

「お、なんだお前たち、アルカディアを知らんのか?」

 そんな様子を見ていた露店の男が話しかけてくる。

「前回の剣術試合の優勝者だよ、いやぁ、アレは見事なモノだったよ」

 うんうんと一人頷きながら思い出すように納得してる。

 小さな町主催の剣術大会だが、珍しく女性の部があるというので周辺地域からたくさんの人が集まってくる。その大会で18才にして優勝したのだ。

 その言葉を聞いた男達は、酔いが覚めたような驚いた顔をして、

"アルカディア"

と、同時に呟いた。

 剣がどうのこうのよりも名前に驚いているのだ。

「へぇ、こんな所に」

「確か、カルマキルの王宮に連れて行けば、金100万ゴールド……」

『?』

 言っている意味が判らない。

 男達の目付きが変わっている。

 人数は4人。それも大人。剣を持っていても男と女では力の差は大きい。

 酔った勢いなのか、彼女を捕らえようと彼女に近付いて来る。危険を感じてアルカディアは一気に走り出した。

「捕まえろ!」

と、誰かが叫ぶと共に一斉に4人が追いかけて来た。


                          【つづく】

 
新しい話でーす。よろしくお願いしますw
たぶんコレが「平行シリーズ」の中で一番昔に書いた小説です。
そして、初めて書いた短編でもあるような気がしますw
ま、当初からだいぶ改良を重ねた文章になってますけどね
楽しんでもらえたら幸いですっ

  • ひろぴょん

    ひろぴょん

    2010/10/01 18:33:58

    すごい人物背景
    異国 平行シリーズにふさわしく
    処女作とは思えません
    ガァク
    ガンバろーと
    (TT)

  • あき☆元綵

    あき☆元綵

    2010/09/29 21:57:24

    新作のコメントありがとうございまーすw
    待っててくださるのは光栄でーす、嬉しいです。
    これからも頑張って、皆様の予想を裏切る展開を考えていきたいと思います。
    ↑とっても難しいけどねー><

    アルカディアは「名前が思いつかんっ」と言った私に大量の案を書いてくれた友達のリストの中から選んだ記憶があります。
    確か、理想郷とかいう意味だったっけかな。
    当初は何も考えずに付けた名前ですが、いろいろ付加がついていろんな意味が・・・

  • みーちゃん

    みーちゃん

    2010/09/28 21:25:46

    ディアちゃんは 捕まってしまうのでしょーか!?!?>< 次の展開が楽しみでふ~~~~~♪♪

  • 雫⋆

    雫⋆

    2010/09/28 13:00:40

    あきさんの新作キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!
    今回は恋愛風味ですか。ディアの剣の腕前、相当なモンなんでしょうね...

  • しゅーひ

    しゅーひ

    2010/09/28 02:07:08

    話とはまったく関係ないけど

    アルカディアと聞くと、ハーロックを思い出してしまう・・・

    いや、ホントまったく関係なくてm(。≧Д≦。)mスマーン!!

  • 美琴

    美琴

    2010/09/28 00:04:26

    また楽しみが増えちゃった♬
    すいませぇん、おかわり下さい〜ww