最近では、古館伊知郎を知らない者はちょっと珍しい存在である。
昔、彼はテレビ朝日のアナウンサーとして、プロレスの実況をしていた。その話芸たるや恐ろしいくらいに洗練されたもので、「立て板に水」とはまさにこのことであった。また、そのしゃべりによってプロレス中継が何倍にも面白みを増していた。

ある時、ふと思ったことがあった。“古館伊知郎のゴルフ実況があれば面白いのではないか？”

「全国のゴルフファンの皆様、こんにちは！こちらは××カントリークラブからの実況生中継です」
「さー、このミドルホールを制した者が、いきなり予選のトップに躍り出るわけです。今回の優勝戦線への切符を手にするのは誰なのか、予想もできない展開になっております」
「おーーーっと、いきなり荒法師ジャンボ尾崎が素振りを始めました。これは３番ウッドでしょうか？」
「これは青木功を挑発しているとしか思えません」
「遠くのグリーンを眺め、風を読んでいる模様ですが、なんとも不敵な笑みが気になります」
「百戦錬磨のつわものだけに、ここは慎重に決めたいところでしょう」
「さー、構えから、一気に振り下ろした・・・・・」
「この男の辞書にはもはやセオリーという言葉は無いのか？！」

こんな実況があったら観ている方は面白くても、ゴルフをする方はたまらないでしょうね？