☆旅の重さ
この映画は日本の70年代を代表する青春映画だと思います。主題歌は吉田拓郎の「今日まで、そして明日から」で、この映画のエッセンスを濃縮したようで、見事にマッチしているんですよね。
“わたしは今日まで生きてきました
時には誰かの力を借りて
時にはなにかにつまづいて
わたしは今日まで生きてみました
そして今わたしは思っています
明日からもこうして生きていくだろうと”
【スジ】
「ママ、びっくりしないで、泣かないで、落付いてね。そう、わたしは旅にでたの。ただの家出じやないの、旅にでたのよ。四国遍路のように海辺づたいに四国をぐるりと旅しようと思ってでてきたの。さわがないで。さわがないでね、ママ。いいえ、ママはそんな人ではないわね。」
十六歳の少女(高橋洋子)が、母親(岸田今日子)の元を離れ、一人旅にでるところからこの映画は始まる。季節は夏、四国遍路の白装束で四国を廻る旅であるが、色々な出来事に遭遇していく。まず、宇和島では痴漢に出会い、奇妙なことにご飯をおごってもらう。
次に、足摺岬では、旅芸人・松田国太郎(三國連太郎)の一座と出会い、世話になることになる。しかし、楽しかったのは初めだけで、世の中の厳しさを垣間見て、一座を去っていくことになる。
ふたたび旅をつづけるが、数日後行き倒れになったところを、魚の行商人・木村(高橋悦史)に助けられた。そして、そのまま世話になるが、木村は博打で逮捕されてしまう。やがて木村が釈放された夜、少女は彼にキスをしたが、木村は無関心でいた。そのことが少女をみじめな思いにさせ、泣きながら飛び出していくことになる。思い直して家へ戻る途中、近所の娘加代(秋吉久美子)が自殺したのを知った。
「私には加代が自殺した原因がわかるような気がする。私もこの旅に出なければ自殺したかも知れない」。
そして、少女は木村の荷車を押して一緒に行商にでるようになった。あたかもこれが旅のゴールであるかのようなエンディングである。
※この映画はオーディションでヒロインを募集し、高橋洋子と秋吉久美子が最終まで残ったと言うことでした。また原作の素九鬼子の同名小説もお勧めですね。
ウミタ
2010/10/17 06:19:00
自由だな・・・・