きいてニコタリーナ

きよ

ちょっと整理したいんだけど

ダンジョン探索ゲームのような夢を見た。

日記

書いておきたかっただけ。



そこは、寂れたお寺だった。

そのお寺の敷地の入り口には、お地蔵さまがあった。

なんとなく、芸能人のつるべさんに似たお地蔵さまだった。

お地蔵さまはすすけて、眉毛は片方が欠けていた。

お庭には、灰色の砂利が敷いてあった。

鬱蒼とした木々のアーチを抜けると、右手に本堂、左手に厨。

参拝者用の本堂の入り口は、ぴったりと木の柵が閉じていて入れない。

奥の暗がりに、うっすらと大仏さまが見えた。

もう少し進むと、本堂の別の入り口を見つけた。

だだっ広い玄関。正面の廊下は陥没していて通れない。

靴を脱いで、右の廊下へ進む。大仏さまの下へ出る。

手を合わせると、参拝者用の入り口がするすると開いた。

そこは通らず、来た道を戻り、玄関の左手の廊下へ。

もとは売店だったらしいこぢんまりとしたスペース。

経典、数珠、お札にお守り、それになぜかおもちゃの木刀まである。

木刀の中から、一番頑丈そうなものを選んで持って行くことにした。

その先は、長い渡り廊下。途中にまた木の柵があったが、横の隙間をすり抜けて進む。

つきあたりを右へ。すると、間もなく行き止まりだった。

そこには仏像のようなものがあった。

それは、背後の岩の割れ目から流れ落ちる清水に打たれていた。

それは、漆塗りか何かのように赤黒くつやつやと光っていた。

それは、確かに菩薩さまの格好をしていたけれど、お顔はまるで信楽焼の狸だった。

それは、にやにやと笑いながら、小さな小坊主の頭に手を乗せていた。

泣いているような顔をした小坊主も、漆塗りのように赤黒く光っていた。

恐ろしくなって、踵を返した。

渡り廊下を戻る途中、枯山水の中庭に大きな板が落ちているのを見つけた。

壊れた手すりの所から庭に下りて、それを拾った。

玄関に戻ると、正面の陥没した廊下に板を渡した。

その上をそろそろと渡って進むと、事務室のような部屋に出た。

部屋中に散らかった文書のほとんどは、漢字ばかりでおまけに達筆過ぎて読めない。

しかし、根気よく探すと、子供が忘れていったらしい自由帳を見つけた。

名前の欄には「3年2組1班」。中は小学生の男子の雑な文字が躍る。

「大仏とたぬき をかわりばんこに 5回 おがんだら つるべの」

そのあとは、もう殴り書きのようで読めない。

文机の下に、鍵を見つけた。付いている木札の褪せた文字は、「厨」と読める。

玄関から外に出て、厨の入り口を探す。

ずっと奥の方に、入口はあった。持っている鍵で開いた。

薄暗く埃っぽい台所。クモの巣の張ったかまど。

奥の座敷へ上がってみる。

なぜか押入れを見つけた。立てつけの悪い戸を開けてみると、黴臭い臭いがする。

積み重ねられた布団の中に、恐る恐る手を入れてみた。硬い感触。

引き抜いてみると、この場に似つかわしくない、ぴかぴかの最新号のジャンプがあった。

巻頭カラーは美川べるの。しかも大増量50ページ。このジャンプは偽物だ。

読み耽って、気がつくと外がもう夕暮れだった。

慌てて厨を出て、小学生のメモの通り、大仏さまを拝みに行く。

それからあの漆の狸のような仏像の下へ。夕暮れの恐ろしさも相まって小走りになる。

それを5回、繰り返したところで、遠くで何か音がした気がした。

お寺の敷地の入り口へ走る。もう足元もよく見えないほど暗い。

つるべ地蔵の元へ辿りついて驚く。眉毛が両方とも揃っていた。

少し出っ張ったそれを、両手で同時に押す。

やや間があって、ずしん、と地響きのような音が



……ここらへんで、宅配便のお兄さんにチャイム押されて起こされた。

なんか起きる直前、赤黒い狸顔の仏像が動いて小学生を追いかけてるのが見えたから、

もしかしたら木刀で大仏と戦うのかもしれない。

偽ジャンプは何に使うんだろう。どこかに仏像の弱点でも書かれてるのか。

終わり。