新小説プロジェクト第1作品『気分は雨時々曇り後晴れ―非日常の世迷言―』
第17話『月、沈ム。』
中編

狐尾十「第一目的は完遂した…これより、わが狐の一族の名を世に知らしめる!!」
九尾「グゥル…」
無屡「それは目的ではなくただの野望よ!!」
狐尾十「つまり野望は無謀だと?」
無屡「そうよ!この私が、あんたの野望を打ち砕く!」
狐尾十「では僕から行かせてもらおう」
無屡「来てみなさい!」
狐尾十「霧の忍、狐陽炎の舞!」
霧の忍、狐陽炎の舞
それは、霧のように忍び寄りて、多方から舞うように攻撃する狐忍法。
無屡「そっちがその気なら!!花の忍、闇桜の狐火!」
花の忍、闇桜の狐火
それは、花を描くように舞いて、夜桜舞い散るように狐火を放射する狐忍法。
狐尾十「当たるまい!」
九尾「…何者じゃ…」
狐尾十「九尾様?!」
眸「私は宵月眸、無屡姉の友達よ!無屡姉が傷つくのは見たくない、でも他の人が傷つくのも見たくないの!」
ヒノ「でかくなったのぅ、九…」
九尾「なるほど…狐尾十、六狐、やめぇい!」
狐尾十「九尾様、しかしこれは僕の運命…」
無屡「どうやらあんたの運命はたった一人の少女の一言で左右されるみたいね…ごめんね、眸…」
眸「ううん、無屡姉が謝ることじゃないよ」
ヒノ「…さて、次はわしらの喧嘩かね?」
九尾「…人が悲しむのは、命の…九の願いに反する…」
ヒノ「なんやて?!お前、九との正式な契約を交わしたんか?!」
九尾「非、正式に…かもしれん」

月夜「…眸…っ、間に合ったのはいいが…」
黒羽「何を考えているんですか?」
月夜「人殺し…かもな…」
黒羽「そんな?!」

眸「あ、月夜…」
ヒノ「なんや、知り合いか?」
眸「まぁ…そんなところかな…」
ヒノ「なんちゅうこっちゃ…あいつぅ、神やないか!」
眸「…えぇ、まぁ…」
ヒノ「でもあいつの連れ…いや、何でもない。」
眸「ん?…」

月夜「っち…やりづらい…」
九尾「なんだと思えば…神の小僧か…」
月夜「小僧?だけどこちとら…神になる前からかなりの実践があんだぜ?それにあんたは復活したて…3本しか生えてないにわか狐が!!」
九尾「にわかなのはお前では無からぬか!!」
月夜「…運命に向かいて振り向かず!」
九尾「運命か…ますますたわけな考えじゃな!」
月夜「…御託はいらん!五択もいらん!」
九尾「意味が分からんが…面白い…その考えは誉めてやろう!!」
月夜「星の…燭!」
九尾「狐火の咆哮!」
星の燭、それは月夜にとっては一番下位の技…そしてそれは下級の妖怪なら一撃でも殺せる程度の熱を持つ。火球。
狐火の咆哮、それは九尾が持つ最も弱い技…しかし、神でさえ殺すことも可能と言われている。火炎放射的攻撃。
その二つがぶつかり合う。
無論、本来ならばそこで勝敗は付く。
九尾が万全でないからこそ今二人の力はかろうじて釣り合っている…
二人の攻撃は空にはじかれた。
月夜「…本気で来いよ…」
九尾「見たところ、お主もそうでは無からぬか?」
月夜「…だったら…同時に本気を出そうじゃないか…」
九尾「じゃがそうしたらお主…死ぬぞ?」
月夜「上等だ…」
ツクヨミ「やはり…」
無屡「やはりってどういうことだい?!説明しておくれ!!」
眸「死のうとしてるのね…月夜は…」
ツクヨミ「正解じゃ…しかし死なせたくは無いものじゃのぅ…」
月夜「ふっ…」

続く

今日の名言
『心の成長とは感情が豊かになるだけでなく、命の大切さに気付ける力を持つことができるようになること。』

以上!