日記ダイアリー徒然草

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小説/詩

ユリ01「旅」

(12)

どう見ても、人工的に木が切り倒されていて、太くて長い道が目の前を横断していた。
そしてその半ばほどに、真っ赤な飛行機があった。
多く見積もっても、六人くらいしか乗れないだろう。
道には桜が降り積もっていた。桜の絨毯のようになったこの道の飛行機も、例外ではなくピンクの斑模様になっていた。
ゆっくりと目をつぶる。

少し天然パーマの入った、短い黒髪の女の子が、こっちに走ってきた。
「お~っおかえり~って、えぇぇぇ~~!!!」
私を指差して叫んだので、思わず顔を背けた。
「あ、あ、あんた……もしかして誘拐…!?」
「静かにしろ…。病人だ」
どうやら相当、私がさっき倒れたことに、罪悪感を抱いているようだ。
「分かったよ、はいはい」
奴は近くにある、小さなテントにはいった。私は担がれたままだ。
私は、なんだか柔らかいものの上に着陸した。
気持ちのいい感覚に、体中の感覚が休憩を取り始める。
「おや…すみ、うへ」