日記ダイアリー徒然草

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小説/詩

ユリ01「旅」

(15)

やばっ!反射的に身を固める。
桜らしき人物が振り返った。
そして、桜らしき人物は一瞬驚いて、それからにっこりと笑った。
「何だ、おきてたんだユリちゃん」
「お、おはようございます」
思わず挨拶。眠気は吹っ飛んでしまった。
「事情は黒ちゃんから聞いたよ。おーっとどれどれ」
手を私の額に当てる。
それから少し顔をしかめた。
「まだ少しあるねぇ。まっ今日中には下がるでしょっ」
そのあてにならなさそうな予想に、私はとてつもなく気落ちした。
私は迷惑をかけすぎている気がする。何故この人はこんなにも、私を受け入れるのだろうか。それともおいていくつもりか?
それからもこの人は、「熱がよく下がる薬がある」だとか、「最近は物価が上がってる」だとかを、一人でずっと喋っていた。