ひまわり畑を眺める一匹猫

招き猫

猫はただ、風に吹かれながらひまわりの花を観ていました。
まるで懐かしいぬくもりを思い出しているかのように。

書いて見た

小説/詩


線路の向こう



長い冬が終わろうとしている日

雨の予想を覆し 澄み切った青空が広がっていた

君が生れた日 誰もが笑顔だった

母さんと私は 君を抱いてこの線路脇の道を歩いて

この家に帰ってきた

母さんと私はとても幸せだったんだ

だって君が生れてくれたから それは君が生れてくれたから



人生を走っていると 忘れ得ぬ瞬間が訪れる

その瞬間を見るために 私たちは果ての無い線路を走っているのかもしれないね



君が生れて一年が経った日

君は人の本能のまま 自らの力で立ち上がった

誰もが喜び 誰もが笑顔だった

私は晴れた日に 君を連れてこの線路脇の道を歩いた

また明日も歩こう

君は笑顔で歩いていたんだ

それは私が笑っていたから? それとも君が幸せだったから?



母さんが仕事を終える夕方

君はこの線路脇の道で 母さんの帰りを待っていた

君は走り去る 電車を数えていた

母さんが踏み切りを 笑顔で渡って来るのを走って迎えたね

一緒に帰ろうねと

君は笑顔で走っていった

君は幸せそうだったね 皆幸せだったんだ



君が四歳になった夏

母さんはたった一人きりで 天国へ旅立っていった

君は上を向き 涙を浮かべていた

父さんねえ父さん どうして僕の母さんが選ばれてしまったの?

どうして?ねえどうして?

線路脇の道を歩いた

仕方の無い事もあるんだ どうしようもない無い事もね



君は私に聞いた

ねえ、この線路はどこにでも繋がっているのでしょう?

母さんの所へは行けないの?

私は答えた

母さんの事を忘れるな

母さんの笑顔を 声を 約束を

そして母さんは

私たちのために戦ったんだ

母さんの勇気を

決して忘れるな



人生を走っていると 忘れ得ぬ瞬間が訪れる

その瞬間を見るために 私たちは果ての無い線路を走っているのかもしれないね

  • 招き猫

    招き猫

    2011/02/16 14:42:44

    黒猫手毬さん
    そうですね、私もそう思います。
    愛があれば温かい。
    でも、愛があるからこそ寂しくもあります。
    愛するがゆえに寂しく、悲しいって事もまた真実だと思います。
    それを乗り越えてこそ、本当の生きる力が得られるのかも知れません。
    私はまだまだ半人前なのでしょうねぇ・・・。

  • 黒猫手毬

    黒猫手毬

    2011/02/14 20:54:54

    愛がある。
    愛があるって、それだけで温かいです^^

    愛されるのも嬉しいけれど
    やっぱり誰かを愛することが
    生きていく力になるだと思うんです。

  • 招き猫

    招き猫

    2011/02/12 22:46:19

    黒猫手毬さん
    息子がですね、あまりにも気持ち良さそうに私の隣で寝ていたんです。
    こいつの将来とか、妻の事とか、頭の中に去来してきて
    いろんな事が頭を過ぎりましてね。
    こんな詰まらんものを書いてみました。

    息子がそのようになった時、私に見せれる勇気と気力があったら見せてみますね。

  • 黒猫手毬

    黒猫手毬

    2011/02/12 21:13:55

    いつかね。。時が過ぎて
    キアヌ君が反抗期を迎えることになったら
    それとも独りで無口になって
    悩んでいるようだったら、
    さりげなく、この詩を置いておく
    その為にとっておいてくださいね。

  • 招き猫

    招き猫

    2011/02/12 20:11:14

    明日風夢中姫さん
    ええ、忘れないと言っています。
    お母さんがいたら、私のように甘やかしていないと思うんですよね。
    だから本当に、いて欲しかったです。
    息子にとっては優しい母の印象ばかりみたいで、いつも息子は月と話しています。
    今の所、私には出来すぎの息子のようです。

  • 明日風夢中姫

    明日風夢中姫

    2011/02/11 13:20:18

    キアヌくん、お母さんのこと絶対に忘れませんよ。
    お母さんに似て勇気ある男性に成長してくれると思います。