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ラト

なに描こか?なに伝えよか?

異質なる存在とは 「アトムの子ら」

小説/詩

これまた、古い古いお話だ。
初めて読んだのは半地下にあった、小学校の図書室。 
作者は女性で、名をウィルマー・H・シラスという。
この作品のテーマは、新人類ものになる。
古典的なSFの主題で、いろんなヴァリエーションの名作が多い。
日本の漫画やアニメでも、このテーマは花盛り。
ガンダムシリーズの「ニュータイプ」はその一番成功した例だろう。

とある原子力研究所での爆発事故は、いくつもの悲劇を引き起こした。
研究員や職員は、事件から2年以内にほとんどが放射能障害で亡くなってしまった。
ただ、その2年間、犠牲者の間に生まれた子供たちは生き延びた。
主人公のティムは何処といって目立たない、普通の成績で普通の生活を送る少年だ。
亡くなった彼の両親は爆発事故の犠牲者だった。
彼の担任教師は、あまりにも普通にふるまおうとするティムに違和感を覚え、精神科医のウェルズに相談を持ちかける。
これが少年ティムとその仲間達の運命を変えていくことになる…。

自分は普通じゃない。
自分は人間と異質な生き物だ。
みつかれば排除され、区別され、存在を消されるかもしれない。
みんなと違うとは、かくも恐怖感を感じるものだろう。
石をもって追われる恐怖は、並大抵のものじゃない。
私自身、排除された経験をもつから、なおさらそれはよくわかる。
放射能の影響で、高い知性を持ったティムたち「アトムの子ら」の生き方は、今の子供たちからみたらどんな風に映るだろうか。
うちにこもって、自分と同じ知性を持つもの同士の共同体は心地良かった。
だが、それではいけない。
今、生きている社会に受け入れられて、人は始めて人間というものになるのかも知れない。
「アトムの子ら」の選択は、もといた環境で、もう一度人間になることだった。
異質なる存在の自分たちを、わかってもらうために。
困難で苦しい道を、選択していく。

人と異質だとゆうだけで、排除し、いじめ、受け入れない。
そんな人は、何時の時代にも必ず存在する。
それといっしょに、相手が何者でも受け入れ肯定する人も少なからず存在する。
人と違う事を恐れるなかれ。
どんなに苦しくても、踏み出して歩き出してほしい。
読み返すたび、そう願ってしまう。
ティム達がそうしたように。

  • ラト

    ラト

    2011/02/28 23:12:30

    アイルーアップル さま
    人間である限り、このテーマは不滅やろうなあ。
    ESPであれ、魔力であれ、特殊な技能や優れた頭脳であれ。
    異質なる者は、憧憬と妬みのもとなんやろうなあ・・。

  • ラト

    ラト

    2011/02/28 23:10:14

    沙羅さま
    ハインラインにアーサー・C・クラーク…大御所と並んでるんやw
    内容は地味やけど、遜色の無いSF古典やと思う。
    これが書かれた1950年代当時としては、女性がSF書くのって珍しかった。
    だから余計に話題になったみたい。
    再読したら、また違った視点でよめそうやね。

  • ラト

    ラト

    2011/02/28 23:06:36

    らてぃあさま
    面白いですよ♪
    手塚先生の作品も「異質なるもの」をテーマとしてよく使われますね。
    アトム、レオ、トリトンにブラック・ジャック、サファイヤでさえも。
    どのヒーロー、ヒロインも異端のキャラクターですから。

    私もらてぃあさんの意見に賛成やなあ。

  • アイルーアップル

    アイルーアップル

    2011/02/28 08:55:20

    「ひとと違う」「ひととの違い」
    本能に根ざすが故の、永遠のテーマかもしれませんね。

  • 沙羅

    沙羅

    2011/02/27 22:18:01

    これは読んだ、というか、今でも持ってる!
    本棚の最前面でカオスの海に沈んでへん貴重な1冊やわ~w
    ハヤカワ文庫で昭和56年発行ってなってたから………30年前!?
    「夏への扉」、「幼年期の終わり」と並んでるから、海外SFを読んでた時期に一緒に買うたんやろね。
    余りにも懐かし過ぎて、詳細を覚えてへんから、読み直さなあかんなぁ^^;

  • らてぃあ

    らてぃあ

    2011/02/27 20:38:17

    おもしろそう。
    私、手塚治虫ファンですが、彼の漫画の共通点は主人公がいずれも「異質の存在」であること。
    手塚先生が戦時中どんなに殴られても漫画を描かずにはいられず、軍国主義になじめなかった経験が原因ではないかと思います。
    逆境の中、自分の道を生きずにはいられない性みたいなものに強くあこがれます。