今日は、昨晩からの雨が残り、一日雨だった。

あの地震から、初めての雨じゃないかな？

冷たい雨は、被災地に牙を剥くケモノのようなものだろうか。

フロントガラスを心地よく叩く雨粒は

当たり前だが黒くはなかった。

放射能を帯びたとしても

雨が黒くなるわけではない

それは、理性的にはわかるのだが

黒い雨のイメージがあまりに強く

そう感じてしまう。

井伏鱒二の『黒い雨』

国語の教科書などで、目にした人も多いのではないだろうか？

悲惨な出来事なのだけどどこか淡々としていて

時には、ほのぼのするような光景が描写されていたり

人の強さ、優しさも感じられる。

変わり映えのしない、ありふれた毎日が

この上なく幸せなんだと実感する。

普通に一日が始まり、普通に一日が終わること

これが心からありがたいと思える。

ずっと続いて欲しいと願い。

それは意識して守らなければいけないことだと

一人一人が深く心に刻み付けておく。

悲劇を後の教訓にするために

井伏鱒二といえば、『山椒魚』や『黒い雨』で有名だが

有名な言葉も残している。

「さよならだけが人生だ」

ってやつだ。

これは晩唐の詩人、于武陵の「勧酒」の結句です。

　　勧　君　金　屈　巵

　　満　酌　不　須　辞

　　花　発　多　風　雨

　　人　生　足　別　離

これが全文。

　　この盃を受けてくれ

　　どうぞなみなみつがしておくれ

　　花に嵐のたとえもあるぞ

　　さよならだけが人生だ

が鱒二の訳です。

正確な訳とはいえないかもしれませんが

すごくよくできた名文句だと、思います。

春は新しい出会いの季節であるが、

何よりも別れの季節であると思う。

寂しさというイメージが強いけど

「激励」の意味が強く含まれているように感じます。

被災地の皆さん、日本中が激励しています。

希望は捨てずにがんばってくださいね。