小説
ユリ01「旅」
(18)
「あの、桜さん」
「ん、何?」
夕飯のお手伝いをしているときだった。
こちらに背を向けた形で、野菜の調理をしている桜。
石を積み上げただけのかまどに、鍋をかけてある。
「えぇと……。皆さんは兄妹なんですか?」
私がそういうと、桜はげらげらとおなかを抱えて笑いだした。
「あはははっきょーだいって!!ユリ、そうじゃないんだよね」
じゃあどんな関係なんだよ!?と、多少怒鳴りたくなったがガマンした。
何だか昨日から変に気になってしょうがない。
「血はつながってないんだよ」
あっさりと言った。
とりあえず確認しておくけれど、私が今まで会った人々は、ただの知り合いと旅はしない。
ていうか、旅って…。義務教育、完全無視ではないか。
まぁ私が言えることでもないけどさ。
「最初は…。最初はさ、あたし一人だったんだよね」
桜はそれだけ言うと、むいていたジャガイモを、『どぼん』と鍋へ放り込んだ。
まおう
2011/11/02 22:52:46
!?桜かっこいい!!