日記ダイアリー徒然草

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ユリ01「旅」

(19)

「えぇと、あの、黒ずくめって、黒さんって言うんですか?」
なんて呼べばいいのか良く分からなくて、とりあえず、さん付けにした。
そういうと、桜はうなずきながらこう言った。
「あぁ、黒ちゃんのこと?うーん…。そうじゃなくてさ」
少し間をおいてから、桜は言った。
「あだ名なんだよね、本名わかんないの」
「そうなんですか」
意外な答えに、もごもごと返事をした。
「ま、黒い服着てるから黒ちゃん。安直でしょ」
ふふふ、と笑う。無理に笑っているような、そんな違和感を感じた。
なんと言えばいいのか分からず、話題を変えることにした。
「学校って、行ってないんですよね」
その時、桜の背中がびくり止まった。
「学校……」
桜は呟く。
聞いてはいけなかったかと思い、ごくりとつばを飲み込んだ。
旅をしているんだ、何か事情が無いわけがない。