☆延陽伯
上方では延陽伯とは「縁良く掃く」の漢文的な当て字とされています。スジはほぼ同じでも、東京では「たらちね」という演題になります。そして、文化の違いでしょうか、落語の雰囲気もかなり変わるように思います。皆さんはどちらが好みですか?
【スジ】
家主さんから紹介があり、長屋のやもめ男に縁談があり、とんとん拍子に話は進む。年は若く器量のいい美人で、やもめ男にはもったいないくらいの話しである。しかし、ひとつだけ問題ある。小さな頃から京の公卿に奉公に行っていたので、言葉がものすごく丁寧で、何を言っているのかわからないことである。
家主が名前を尋ねると、言葉遣いが丁寧なので、「わらわの姓名なるや、父は京都の産にして、姓は安藤、名は敬三、字を五光と申せしが、わが母三十三歳の折、ある夜丹頂を夢見、わらわをはらみしがゆえに、たらちねの胎内より生でし頃は、鶴女(つるじょ)、鶴女と申せしが、これは幼名。成長の後これを改め、延陽伯と申すなり」と答える始末。
そしてこの落語でもっとも面白いところは、やもめ男が嫁をもらえるというので、有頂天になり、風呂屋に行くくだりである。普段は、風呂には縁のないやもめ男にはせっけんがなく、代わりにぬか袋を用意しようとするが、適当な袋がないので座布団の皮をはがして、米屋でそれに一杯「ぬか」を詰めてもらって、巨大な「ぬか袋」を作る。そして、それを背負って風呂に飛び込むところなど、何回聞いても爆笑まちがいなしです。
サビ猫
2011/04/22 00:38:22
この話のほかにも『猫久』という落語で武士の話してることがサッパリわからず、家に帰ってから武士の話をトンチンカンな言葉で再現する場面がありますが、江戸の庶民はこうやってひそかに公家や武士の話し方をかげでおちょくって楽しんでいたんでしょうね。そして風呂屋に行くくだり、ここは何回聞いても笑いが
止まりませんよねー。ここ、映像がありありと頭に思いうかびます^^