「明治維新は誰から始まったか？」という雲を掴むような質問があったら、皆さんは誰とお答えになりますか？
坂本竜馬、島津斉彬、佐久間象山・・・・･いくらでも答えが返ってきそうですが、知名度は低くても忘れてならない人物の一人に高須久子が入ると思います。

たまたま吉田松陰の本を読んでいたので名前くらいは知っていましたが、大して気にかけていませんでした。ところが、NHKで高須久子の特集を観て興味を持ったので少々調べてみたら、興味あることが続出でした。

吉田松陰は松下村塾を開き、明治維新で活躍した人物を数多く育てたことは有名ですが、その吉田松陰に多大な影響を与えたのが、この高須久子といっても過言ではないでしょう。
この高須久子につては不明なことが多かったのですが、結構史料が見つかったそうです。
久子は裕福な武家のあととり娘だったそうです。そして、養子に迎えた夫が早くなくなったのを機に、町の三味線弾きなどを家に呼んでは演奏させていたそうです。ところが、その三味線弾きは、今で言う被差別部落民だったそうで、その時代のことですから身分制度がうるさく、それらの人を家に入れるというだけでも大変な騒ぎになり、投獄されたというのが真相のようです。また、史料によると、久子は町の三味線弾きなどについて、すべて平人同様の取り扱いをしたとあるそうです。（今では考えられない事件ですね）

二人のいた野山獄での出来事はしばしば取り上げられるところです。囚われの身であっても勉強しようという姿は見習わなければいけないでしょう。また、平等の思想に触れる機会があったので、松陰は松下村塾を開くことにつながり、さらには明治維新につながったと考えると久子の存在はやはり大きなものと言えそうです。
（詳しくは文春文庫「吉田松陰の恋」古川薫やNHKブックス「松陰と女囚と明治維新」田中彰などをご参照ください）