☆雷
季語というものは徐々に少なくなるようで、春雷という言葉もあまり聞かれなくなったような気がします。ところで、この雷の正体は電気ということは誰もが知っているところでしょう。しかし、その発生機序を調べてみると結構面白いことが記されていました。
雷の発生機序
・熱雷
熱雷とは主に夏に見られるものです。夏の強い日射により地表面が熱せられ、その上昇気流によって積乱雲ができます。そして、積乱雲の中では,高温多湿の水蒸気が断熱膨張するため、氷粒やと氷晶が形成されます。そして、これらの氷の粒子の温度差によって、電荷分離が起こります(温度の高い氷粒は負に、温度の低い氷晶は正に帯電します)。さらに、これらの氷の粒子は大きく分離されることになり、雷雲の上部は正電荷、下部は負電荷の分布になり、その電荷が瞬間的に放電します。また、熱雷は,雷雲下部が地上高2~3kmの比較的高い位置に発生します。
・界雷
界雷とは熱雷と異なり、温暖な気団と寒冷な気団の境界(前線)において発生します。つまり、寒冷前線と温暖前線のどちらでも湿気を含んだ温暖な気団が押し上げられるので、上昇気流が発生し、熱雷と同様に雷が発生します。また、界雷は地上高数百mの比較的低い位置に発生します。
・雷鳴
雷の放電があると、そのエネルギーのため周囲の空気が1万度以上に熱せられることになります。そうすると、空気の急激な膨張が起こり、雷鳴が発生します。
世界的にみると、雷の多く発生する地域は東南アジア、中央アフリカ、中米から南米北部の緯度30度(南北)の地域に集中しているそうです。また、これらの地域で発生するのはほとんどが夏の熱雷だそうで、冬の界雷は非常に少なく、日本の日本海沿岸とノルウェーの大西洋沿岸に限られているそうです。
【参考】
電気には静電気と動電気があります。同じ量の電子が関係していても静電気は動電気とは比較にならないくらいのエネルギーを持ちます。(雷は静電気です)
・静電気
静電誘導などによって自然に発生する動かない電気。電気回路をつなぐと一瞬でなくなります。
・動電気
電気回路をつくったときに次々と発生して回路中の電子を動かす電気です。一般的には電気とは動電気のことを指します。