神守

最近読んだ本

小説/詩

前々回江戸の女奉行をゲットしてはしゃいでいたためというわけではありませんが、『江戸のお白州』(山本博文/文春新書)。

タイトルの通り、江戸時代の記録に残された刑事事件とそれに対する処分をいくつも紹介しています。
日本の江戸時代といえば、まだ行政と司法の分立もされてはいない時代ですが、時代が移り変わっても人間心理というのはそう簡単に変わるものではなく、現代とそう変わらないような事件が起きていたりするのが面白いところです。
一方で江戸時代というのは厳しい身分制社会であり、身分関係を乱すような行動はそれだけで厳罰に処されたり、事件の背景に身分制度に基づく不自由があったりと、現代人の価値観ではなかなか理解し難いような部分もあります。

当時の刑罰は応報的・みせしめ的な部分が強く、人が死んでいればほぼ死刑というのは非常に分かり易い上、死刑の種類も多め。(笑)
ところが、一方でこの時代の刑罰は、被害者が怪我で済んだような場合には妙に軽かったりもするのです。
現代であれば被害者が死んでいなくても場合によってはほとんど怪我もしていなくても、心のケアとかいろんなことが問題にされそうなんですが、この時代にそんなものがあるわけもありません。
庶民でも脇差位は持てたような時代ですから、その辺の感覚は現代とは相当に異なっていたのでしょうか。

最近、犯罪が起きるたびに現代の刑罰は軽すぎるなんてことが言われますが、改めてこういうところを見ると、果たして厳罰化論の立場から見て前近代の法制というのはそんなに良いもんなのだろうかと考えてしまいます。


ところで、ずっと疑問だったのですが、これは「小説/詩」のジャンルに入れて良いものなのでしょうか?
私の読む本って、大体がノンフィクションなんですが。


#日記広場:小説/詩

  • 神守

    神守

    2011/12/23 13:24:35

    >ラムセス2世さん

    なるほど、ニコタには、テレビや映画はあるのに、書籍というジャンルがないんですね^^

    刑罰の基本が応報であることは現代でも変わりありません。
    応報は犯人側の問題ですので、近年司法手続への参加が認められるまでは、そこに被害者が主体的に関与する余地がなかったのですね。

    犯罪被害者の方は、犯人への厳罰を望むことも多いでしょうが、10人を殺した人に10回死ねというのは現世では絶対に不可能なことですし、また被害感情というのは一律に量ることの難しいものです。極端な例では、犯人が改心しないまま死刑になったら、怒りのぶつけどころがなくなった、ということもあるそうです。

    そう考えると被害者(遺族)には、刑罰とは別のところで、その各人に応じたケアが必要なのではないかと思えます。
    マスコミの取り上げ方にも問題はあるでしょうし、経済的な面だけ見ても、犯罪被害に対する国からの補償は僅かなものだと聞きますからね。

  • ラムセス2世

    ラムセス2世

    2011/12/23 12:48:31

    突然失礼します。

    ブログ用のカテゴリ、書籍に関してはほとんど無いんですよね><
    仕方なくいつも「小説/詩」に設定して書き込んでいます。

    江戸のお白州、興味が沸きましたので今度書店でチェックして見ます。
    現代の厳罰化は、犯罪者への人権擁護は必要としても
    被害者とその家族の精神的な補償の意味合いもあろうかと思います。
    少しずつ改善されているようですが、いまだ犯人より被害者の方が
    マスコミからひどい扱いを受けているのも気になります。

  • 神守

    神守

    2011/06/18 09:57:20

    >あずみさん

    おはようございます。
    現実に起きてはほしくないことだけど、犯罪や刑罰といえば普通の生活からみれば非日常ですから、興味は引かれて当然と思います。

    確かに当時は高度な医療体制もないですし、人が傷ついたり死んだりするような場面に直面することは現在よりも多かったかもしれませんね。

  • あずみ

    あずみ

    2011/06/18 02:56:02

    どちらかと言えば小説を好みますし、現実では見たくないのに何故か
    刑罰だの拷問だのの本を読んだりしてしまいます。
    そもそも「残酷」の観点すらも現在とは異なるのかもしれませんね。
    面白そうなので本、チェックしておきます。

  • 神守

    神守

    2011/06/18 00:55:53

    >バルニエさん

    こんばんは。
    興味深いことを聞きました。
    過酷な刑罰描写は出版ではNGな場合があるのですね。

    ちなみによく誤解されていますが受刑者は只飯食いではありません。
    刑務作業に雀の涙ほどの作業報奨金しか与えられない結果、自前で飯を食っているのと変わらない待遇です。
    それでもまだ中の方が良いと言って、何度も戻って来る人が後を絶たないのは皮肉なことです……。
    仮出獄できるまで短い短いと言われていた無期懲役も、今や30年位は出て来れない(年齢や健康状態次第では獄死する)のが普通みたいです。

  • バルニエ

    バルニエ

    2011/06/18 00:17:35

    小説ジャンルで良いのではないでしょうか?ww
    神守さんがどういう作品を好むのか興味があったのですが、
    なんとなく読みは当たっていた気が致しますw

    時代が遡るほど、悲惨な刑罰が待っている。
    ドラマや映画を観ると、たいてい目を瞑りたくなるようなシーンになりますよね……。
    「いや~!!」と身震いしても、そのリアリティに好感を持っていたりします。
    ファンタジー書きですが、そういうリアルな部分を大事にしたい!と熱意はあれど、
    出版社的にNGが多いです。残念。

    現代の刑罰。無駄に税金取られるよりは、いっそ……と思ってしまったり。
    ただ、命が奪われているのに、10年もかからず出所となれば、
    遺族は辛いだろうな……と考えてしまいます。

    心のケアか……。たしかに昔はセラピストもいなかったでしょうし、
    精神的なこととか深く考えたかどうかも微妙(^。^;;