ま、お茶でもどうぞ

蒼雪

日々感じたことを書いています。
なんとなく、徒然草。

モンスターハンター 勇気の証明~三章-10

自作小説

【覚悟・承前】

突然のランマルの物言いに、ユッカも驚いて立ち上がった。
「な、なによ、急に! 帰れだなんて…!」
「ここを道なりにまっすぐ行けば、じきにキャンプに着くニャ。そこで非常時の信号弾を上げれば、クエストリタイアとみなして、ギルドからネコタクが迎えに来てくれるニャよ」
「ちょっと、人の話を聞きなさいよ!」
「…お前なんて、このまま行っても野垂れ死にか足手まといなだけニャ!」
不穏に喉を鳴らして、ランマルは声高に怒鳴った。
「足手まといなんていたら、旦那様が危なくなるんだニャ。ナルガクルガは恐ろしい早さのモンスターだニャ。百戦錬磨のボクでも、とてもじゃないけどひよっ子のお守りはしていられないニャ」
「なによ、わたしだって…!」

――お前がいると、俺、アオアシラにも勝てる自信ねーなー。

むきになって言い返そうとして、ふいに兄グロムの言葉が脳裏にちらついた。
狩り場に向かうガーグァ車の上で、笑いながらグロムが言ったのだ。

――足手まといは、正直いらねーし。…ったく、母ちゃんが言わなきゃ、なんでお前のお守りなんか…。

…正直、ユッカは少し、傷ついた。グロムがへらっと笑って言っていたから冗談に聞こえたのと、手綱を取っていたミーラルが、『お前言いすぎだぞ! ユッカちゃんに謝れ!』と怒ってくれたから、泣きはしなかったけれど。
でも、自分は兄にとって邪魔なのかな、とは思った。足手まといというひと言が、今もちくりと胸に刺さっている。

「…でも、わたしだって、戦いの訓練はしてきたよ。それに、始めたばかりなんだから、失敗があったっていいでしょう?」
兄に向けた反論と同じことを、ランマルにぶつける。兄は困ったように笑ってお茶を濁したが、ランマルは厳しい目でユッカを睨んだ。
「死んだらなんにもならないニャ! 失敗なんて言葉は、せいぜい採取か運搬のクエストで言えばいいニャ! ボクらは命がけなんだニャ!」
「…どうして、そんなにむきになるの? あなたがわたしを嫌いなことはわかったよ。でも、そんなに当たり散らさなくてもいいじゃない!」
「あ、当たってなんかないニャ! ボクは、旦那様が大事なんだニャ。それだけニャ!」
ランマルはフーッとうなった。首筋の毛が逆立っている。
「ついでに、ボクは甘ちゃんが大嫌いニャ。ユッカ見てると、昔の嫌なこと思い出すニャ」
「嫌なこと…? ランマル、なにかあったの?」
猫の目が潤んでいることにユッカは気づいた。怒りを解いておずおずと尋ねると、ランマルははっとして髭を立てた。
「な、なんでもないニャ。さあ、お子様は早くキャンプに帰れニャ!」
「あっ、待ってよ!」
ユッカが止めるのも聞かず、ランマルはピョンと崖下へ飛び降りた。さすが猫、数メートル下に音もなく着地し、すたすたとミランダのもとへ歩いていく。
ユッカは慌ててたき火を消し、おぼつかない動きで崖を降りると、ランマルを追った。

「ついて来るなニャ!」
「やだ! ミランダさんは、一緒に来いって言ってたじゃない」
月明かりの下、振り向いた猫に、ユッカは負けじと睨み返した。相手が足を速めると、ユッカも合わせて足を速める。でもアイルーの足は意外と速くて、なかなか数歩の距離が縮まらない。
「旦那様にはボクが言っておくニャ。だから気にせず帰るニャ」
「嫌よ。わたし、帰らない! お兄ちゃんとミーラルさんを探して、ちゃんと仕事も終わらせてから帰る!」
「意地っ張りな娘ニャ」
「あんただってそうでしょ!」
ふいに、ランマルは足を止めた。くるりとユッカに向き直る。
「…だったら、今ここで、ボクと戦うニャ」
「え…?」
「そこまで言うなら、覚悟を見せてみろニャ。ガーグァも狩れない甘ちゃんが、本当にボクらの足手まといじゃないかどうか、証明してみせろニャ!」
「ちょ、ちょっと――!」
フギ―! と怒った声をあげるやいなや、ランマルは有無を言わせずユッカに飛びかかった。背に負った大剣を振りかざす間もなく、ランマルの投げつけた小タル爆弾がユッカに襲いかかる。
「きゃあ!」
間一髪で転がってかわし、ユッカは大剣の柄に手を伸ばした。が、相手がアイルーだと思うと、すぐに振りかざせない。
「待って、待ってよ! どうしてあなたと戦わなきゃいけないの?」
「戦いに理由なんていらないニャ! 死にたくなければ、早く剣を抜くニャ!」
「やっ――!」
ランマルがその背に負っていたマキ割りネコ斧を振り下ろす。今までの厳しい訓練のたまものか、反射的にユッカは自分の剣を構え、斧の一撃を防いだ。きーんと澄んだ音とともに、火花がいくつか弾け飛んだ。
「やめて! あなたと戦いたくない!」
懸命にランマルの斬撃を受け流しながら、ユッカはやめるよう訴えた。けれど怒りに我を忘れた猫は、攻撃の手を一切緩めようとしない。
「ランマルッ――!」
ぶうんと振り回されたランマルの斧が、ユッカの笠を弾き飛ばした。


#日記広場:自作小説

  • 蒼雪

    蒼雪

    2011/07/28 01:24:24

    そらさん、コメント感謝です。

    モンハンはPSPでもかなりきれいな方ですよ~。というか、そこまでじゃないと、みんな認めませんね。目が肥えているから^^;
    最初に出てくる男ハンターが焼いている肉、おいしそうですよねw

    ストーリーを追う楽しみがあるって、いいですね。俺は最近のゲームでは、萌えが低迷期で…。どれやっても今ひとつに感じてしまうんですよ^^;
    FFもドラクエも、もう俺に感動は与えないだろうし。なんか良いゲームないでしょうかねえ。ストーリーもので。本気で死活問題です。モンハンは面白いですけどね^^

    俺もアクションは苦手な方で…。昔はバイオにもはまったけど、今は怖いゲームやりたくなくなりました。心臓に悪いんだもんwww
    モンハンも心臓に悪い方ですが、あの緊張感がたまりませんね~^^



  • そらのかけら

    そらのかけら

    2011/07/28 01:12:23

    アバの感じがわからないので、OPM見てきました。
    最近のゲームは画面がキレイですね~~~
    キャラデザインも凝ったものでした。

    わたし、RPGで戦うよりもOPMをぼや~~~と見てるほうで・・・・
    きっとストーリー展開をみたいんだと思います。
    ↑こんな風に書いてあると、戦わなくてすむんで、私にはいいかも~~

  • 蒼雪

    蒼雪

    2011/07/28 00:17:25

    アイマールさん、コメント感謝です。

    うんうん…そうなんですよ。書きたい事、分かって頂けて嬉しいです^^
    ゲームとしてのバトルは、いかに気持ちよく敵をぶっ倒せるか。そこに重点が置かれているのが多いです。
    三国無双とかね。
    三国無双に関しては、あれはああいうゲームなので、深くは申しませんが。ストレス解消には良いですし。

    ただ、リアルな戦い~命のやり取りがあるんだってこと、襲ってくるモンスターでさえ、痛みや苦しみがあるってことを、今の若い子達はわかってないかもな…という危惧はあります。
    おっしゃる通り、子供だから人生経験が浅いんですよね。だから、本当の痛みや苦しみを味わってない人が多い。こればかりはね、「今すぐ理解しろ」って言っても無理ですよ。その人の人生だから^^;

    かっこいい部分だけを書きたがるってところ、すごくうなずきました。同時に、その浅はかさが悲しかったりして。
    だって、人を殴ったり斬りつけたり、魔法で焼いたりとか、実際問題むごいことじゃないですか。
    それを単に「爽快感」「カッコいい」って思うことは…腹立ちます、俺は。想像力足りなさすぎ。
    お前がそういう目に遭ったら、それでもカッコいいってひと言で片付けられんのか?と。
    …と、熱くなってみても、前に述べた理由の通り、経験浅いから、仕方ないんですけどね…。俺も子供の頃は、ドラクエで敵倒すことにまったく苦痛を感じなかったですから。人のこと言えません。

    作品で、その人の年齢わかるとおっしゃってますが、半分正解かもしれませんね。それは精神年齢と言えるかも。大人でも、子供っぽい内容の作品書く人、多いですし^^;

    あ、そういえば、ラノベは若ければ若いほど良いっていう説があるんですよ。カッコよさ、楽しさを書くだけでいい内容は、経験浅いうちじゃないとダメとかね。30過ぎると、人生の大半を分かった気になって、つい渋い話や苦い経験を書いたりしてつまらなくなるからだそうです。
    でも結局は、その人の力量なんですけどね。年齢関係なし^^

    アイマールさんの作品も、奥深いと思います。道場の歴史お題で、名作書かれてますしね。あれはすごいです、ほんとに^^

  • アイマール

    アイマール

    2011/07/27 23:19:19

    うん、そうなんですよねぇ。
    生半可な気持ちじゃ、正直死んじゃうでしょうねぇ。
    戦争ものの勉強でいろんな話読んでみたんですけど、とにかく新兵は嫌がられるんですよね。
    1人で死ぬ分には良いけど、足を引っ張って隊が全滅なんてこともあるし。
    やっぱり蒼雪さんって、ちゃんと大人ですねぇ。 ((-_-*)) ウンウン
    イヤ、変な意味じゃなくて。www
    まだ若い子(20代前半くらいまで)の書くファンタジー・アクション小説って、そういう現実的な
    部分を描ききれてない作品が多いんですよね。
    多分マンガとアニメとゲームしか知らないんだろうって、よく言われてますけど。
    マンガ、アニメの真似をして、かっこいい部分だけを書きたがるって言うか、何て言うか…。
    前にサークルでもこの話出ましたけど、汚い裏の部分をどれだけ書けるかが、作家の力量を
    問われるんでしょうね。
    だって、かっこいいものなんか誰にでも書けるもの。
    作品読むと、書いてる人の年齢って大抵分かりますよね~。
    やっぱり30代の書いた作品は、それなりの人生経験が作品に組み込まれてるんですよねぇ。
    ただかっこよさを求めるだけの作品は、さすがに30代超えるともう読めないです~。
    完全に年だわ…。www
    まあ、私も偉そうなこと言って、たいして書けてませんが…。^^;
    それが目指す方向ってことで…。
    さ、がんばるぞ~! ← 誤魔化した。www

    それにしても、ミランダさんの過去に何があったんだ!
    って、ユッカの心配は?www
    ユッカは多分、やればできる子なんで大丈夫でしょう♪ 決めつけ。www

  • 蒼雪

    蒼雪

    2011/07/27 23:05:47

    イカズチさん、コメント感謝です。

    おお、鋭い所に目をつけられました。さすがですね。どこがって、力量云々の所です。
    ハンターって、専門職ですよね。狩りのプロなわけです。
    この章のテーマは、そのあたりを追求しているかも。

    なんか、もうこいつら、俺の手から離れようとしています。
    当初はもっと、穏やかな展開になるはずだったんですが。
    久しぶりに、キャラが独り歩きしてます。これも、イカズチさんが素晴らしい世界を提供してくださったおかげです。ありがとうございます^^

  • イカズチ

    イカズチ

    2011/07/27 22:03:25

    ふむぅ……。
    ハンターは死と隣り合わせの日常を送っていると予想されますので、後輩にはっきりと言葉にして力量を悟らせるのも、ある意味、優しさなのでしょう。
    アリスもミーラルとグロムにはっきり『足手まとい』と言ってますしね。
    でもオトモに言われると……傷付くなぁ、やっぱ。

    ランマルにも過去がある事を匂わせる箇所がありましたし、ユッカとの決闘。
    目が離せない展開になってきました。