祖母が銀行印を紛失しました。
金に関することは一切他人に触らせない主義なのか、祖母は「自分が持っとるのが間違いない」という考えでして、通帳や判子を凝った所に隠しております。
それで通帳はあったのですが、出てきた判子が銀行印と違っておりました。
それで私が再三、判子が違うからと申しておるのですが「印鑑はこれしかないから、これや」と決め付けておりまして結局そのまま銀行に行ったのですが、やはり判子が違いますのでお金を下ろせませんでした。
そういう事態になってからやっと祖母は判子を探す気になったのかというと、今度は疲れたと言って寝てしまいます。
判子を探すのに協力的ではないので、こうなると私が探すしかないようなのですが、とにかく祖母がどこに隠したのか分かりませんし、前に教えてもらった所には違う判子しかないようです。
祖母は「いっつも入れたるﾄｺに判子がない」と申しております。
物がなくなると老人は必ず家族の責任にするという一般論がありまして、私は毎度それを実感しております。
それで実印を入れてある所を祖母に探してもらって、それを見ますと私が付けたｼﾙｼがありますので、これが銀行印に間違いないと確信しました。
前は、そのｼﾙｼすらなかったので正しい判子かどうかが分からない状態でした。
本人もどの判子が銀行印か分からないので、印鑑を三個も銀行に持ち込んでおりました。
祖母の非協力的な態度のおかげで、銀行の閉店時間が迫っておりましたので、片づけを後にしろと言っているのですが、祖母は目の前にある物を片付ける、という極めて優先順位の低い事柄を最優先する傾向がありまして、この時も倉庫の片づけを最優先しますので残り時間が無為に減りました。
急いで銀行に行って下ろせば間に合うのですが、もう面倒だし今すぐお金が必要でもないので明日にしました。
すると祖母は建築業者が明日の午前中に来るからややこしいと何かと理由を作るのです。
それに付き合ってやるだけの忍耐心が私にはありませんので、やっぱりお金を下ろすのは明日にしました。