命の灯が揺れるとき、消えるとき
目の前で誰かが倒れた時、あなたならどうする?
わたしは、助けるために何か行動を起こす。
どうにかして命を繋ぎとめようと必死になるだろう。
でも、実際に目の前で人が倒れた時、泣くことしかできなかった。
わたしが泣いている間に、助かった命が一つ。
わたしが泣いている間に、助からなかった命が一つ。
助かった命は、目の前で倒れ、異常呼吸と痙攣があった。
そのような人間を今までに見たこともないわたしは、恐怖でしかなかった。
目を見開き、手足はおかしなぐらい真っ直ぐに伸びていた。
本当に同じ人間なのだろうか、と疑ってしまった。
助けを呼ぶために、声が出ていたのかはわからないが、とにかく叫んだ。
他の人間が来たころ、その人間は落ち着いた。
幸いにも、その人間は意識が戻り、一命を取り留めた。
助からなかった命は、倒れて少し経ってから見つかった。
まわりの人間が集まってきて、何やら電話したり叫んだりしていた。
ピクリとも動かないその人間は、仰向けになって目を瞑っていた。
このままの体位では、舌根沈下になり呼吸ができなくなる、と思った。
だが、もしわたしが体位を変えることによって命を奪ってしまったら?
そう思うと、泣く以外に何もできなかった。
そして後日、その人間が舌根沈下による呼吸停止で亡くなったと知った。
わたしは、その人間を見殺しにしてしまった。
例え、知識や技術があったとしても、それを行動に移さなければ意味がない。
わたしはそのとき誓った。
目の前にある命の灯が消えかけた時は
灯が再び輝きだすように、全力で守ることを。