トレミーの４８星座の１つであり、ギリシア神話の英雄ヘルクレスの星座で五番目の大きさの割には暗い星が多く、あまり目立たない星座です。位置は夏の夜空でよく目立つうしかい座のアルクトゥールスとこと座のベガの間にツツミの形をしているのがこの星座です。また、ヘルクレスの体は逆さまになって上ってきて、頭は南のα星が、足は北側の星になります。

ギリシャ神話では、ヘルクレスはゼウスとミケーネの王女アメーテルの間に生まれました。しかし、ゼウスの妻ヘラから呪いを掛けられてしまい、そのせいで自分の子供と兄弟の子供を皆殺しにしてしまいました。そして、その罪を償うためにヘルクレスは１２の冒険の旅に出ました。

・ネメアの人食いライオンを，退治すること
・アミモーネの沼の怪物ヒドラを，退治すること
・ケリュネイアの魔の鹿を，生け捕りにすること
・エリュマントス山の巨大猪を捕獲すること
・アウゲイアス王の牛小屋を，掃除すること
・鉄の嘴と爪をもつスチュンパリデスの，森の鳥を退治すること
・クレタ島の狂暴な，牡牛を生け捕ること
・アマゾンの女王ピッポリテスの，帯を強奪すること
・ディオメデスの人食い馬を，退治すること
・ヘスペリデスの園の，金のりんごを持ってくること
・エリュティアに住む，怪物ゲリュオンを退治すること
・地獄の番犬ケルベロスを生け捕りすること

これら１２の冒険を全てクリアして、その後ディアネイラという、美しい娘と結婚しました。

ところがある日、ディアネイラがケンタウルス族のネッソスにさらわれそうになり、ヘルクレスはネッソスにヒドラの毒の付いた矢を放ちました。しかし、ネッソスは死の直前、自分の血をヘルクレスの服に塗ると幸せになれるとディアネイラをだましました。ヒドラの毒で死んだ者の血はヒドラの毒と同じ毒となるのです。
ディアネイラはネッソスの言葉を信じてヘルクレスの服にネッソスの血をぬり、そうとは知らずにヘルクレスは毒の塗られた服を着てしまいました。その服はヘルクレスをしめつけ、ヘルクレスは死を覚悟しオイテの山の上にまきを積んで火を付けて自ら炎の中に飛び込んで死んでしまいました。それを天から見ていたゼウスがヘルクレスを天に上げ星座にしたのだと言うことです。