ま、お茶でもどうぞ

蒼雪

日々感じたことを書いています。
なんとなく、徒然草。

モンスターハンター 勇気の証明~五章 02

自作小説

【酒場での再会】

「おかえり。どうやら、無事に狩れたようだね。お疲れ様」
「はいっ。ただ今戻りました!」
 背に弓を背負ったユッカが、ミランダのいるカウンターまで小走りに寄って来た。その後を、武装したままのグロムとランマル、それにケマリがついて来る。
 ケマリは、もともとミーラルの父のオトモアイルーだったが、今はこうしてグロムについて旅をすることが多い。
「あれ、あんた達、ミーラルとショウコは? 行く時一緒じゃなかったっけ?」
 ユッカ達のために飲み物を用意しながら、ミランダが首をかしげた。
「あはは……。ちょっと、ミーラルさんとお兄ちゃん、ケンカしちゃってて」
「あいつ、最近わけわかんねーんだよ」
 どっかとカウンターの椅子に腰かけ、グロムはぐるりと首を回して肩こりをほぐそうとした。
「なんか妙に俺の方じっとガン飛ばすかと思えば、フロギィシリーズとナルガシリーズ、どっちの防具がいい? って顔真っ赤にして尋ねて来てさ。んなもんスキルで決めろよって言ったら、思い切り顔殴りやがるの。グーでだぞ、グーで? 狩り前の大事な身体に何してくれるんだよ、ったく……」
 と、旅に出る前に殴られた右頬が今も痛むといわんばかりに、グロムはこれみよがしに頬をさすった。
「ああ……そういうことね」
「……そういうことです」
 訳知り顔でミランダがうなずき、呆れたように弱々しくユッカが笑う。グロムだけが、何も知らない様子だ。まだ唇をとがらせている。
「だから、俺しばらく、ミーラルとはコンビ解消してんの。調子狂うんだよ、今のあいつといるとさ」
「へえ~、どんな?」
 にやにやしてミランダが促す。グロムは「どうもこうもねえよ」とぶっきらぼうに言った。
「頼んでないのに、ちょっと俺が転んだだけで生命の粉塵使おうとするし。もったいないからやめろって言うとすげー怒るし。それで集中力欠いて、ミス連発。これならユッカと組んだ方がましだっての」
「ましって何よ~!」
「まあまあ」
 ここ数回のクエストで、二人で強大なモンスターを狩れたのは、ユッカのサポートあってのことだ。さすがにユッカが食ってかかると、ミランダが苦笑して二人をなだめた。
「ミーラルも思う所があるんだろう。そうだね、今はそっとしといておやり。お互い、やりやすいようにやればいいさ」
 ミランダは冷たいジュースを作ると、グロム達の前に置いた。それを潮に、うつむき加減に黙っていた教官が席を立つ。
「女将、ツケで頼む」
「ちょいと待ちな」
 さっきまでの和やかな表情が一変し、冷やかな目で、ミランダはそそくさと帰ろうとする教官を呼びとめた。
「あんた、今夜もタダ食いタダ飲みかい? 先月と合わせて、もう5千ゼニ―もツケが溜まってるんだよ。いい加減払ってくれないと、こっちも商売あがったりでねぇ」
「そ、それはいずれ出世払いで……」
「あれ、教官じゃん。なんでここにいんの?」
 肩をすくめた教官に、いまさらながらにグロムが気づいて目を丸くした。さすがに気分を害して、教官は肩を怒らせる。
「貴様! 気づくの遅いだろうが! 一体誰のおかげで今のお前があると思ってる!」
「俺、別にあんたに教わった覚えねーし……」
「きょ、教官! お久しぶりです!」
 ユッカが慌てて頭を下げる。いかめしかった教官の相好が崩れた。
「おお、ユッカではないか。貴様は我輩が教えた中で、一番素直で聞きわけが良かったな。ハンターとしての実力も評判も上々のようで、我輩も鼻が高い! わはは!」
 やむをえずと言いながらも、後進を育て教えることは性分らしい。満足げに笑った彼の目が、ユッカの後ろに控えているランマルを捉えた途端、驚きに見開かれた。
「おおっ、お前は! ミルク! ミルクではないか! アイルーの村以来だな。久しぶりだなあ!」
「ニャ! そ、その名前は~!」
 ランマルのシッポが、ビン! と直立する。ユッカは不思議そうにランマルを見た。
「ミルク? 先生、元の名前はミルクっていうの?」
「ああ。ランマルは、あたしの旦那が付けた名前さ」
 ミランダがうなずく。オトモアイルーは、主人となる人間に仕える時、彼らから新たな名前をもらうことができる。アイルーはそれを絆と誇りにして、一生大切にするのだ。
「ほほう、今はランマルというのか。良い名前だ、ミルク! レウス装備も決まってるぞ、ミルク! 相変わらず白いな、ミルク!」
「しつこいニャ! なんの嫌がらせだニャー!」
「ランマルさん、ちょっと静かにしてくださいニャ。ミランダさんが作ったジュースがまずくなりますニャ」
 カウンターに落ち着き、まるで茶でもすするように両手でジュースを飲むケマリに、ランマルが牙を見せる。
「ケマリ! お前はちょっと落ち着きすぎだニャ! 狩りの最中もさぼるし、今回も全然役に立ってなかったニャ!」
「だってボク、元々グロムさんのオトモじゃないし~ですニャ」


#日記広場:自作小説

  • 蒼雪

    蒼雪

    2011/09/16 09:47:20

    まぷこさん、コメント感謝です。

    網ですねwww
    フロギィ装備は、西部劇スタイル。こちらも、露出が高いですがおしゃれです。
    防具というより、普通におしゃれ装備。ミーラルの複雑な乙女心が現れていると思いませんか?^^

  • まぷこ

    まぷこ

    2011/09/16 09:38:07

    ナルガシリーズって……『ほぼ網』じゃなかったっけ……?

  • 蒼雪

    蒼雪

    2011/09/15 23:25:02

    イカズチさん、コメント感謝です。

    おお、よかったです。イカズチさんの中で「ケマリはこんなふう」ってイメージがあったらどうしようと思ってました。ちょっと生意気に書きましたが、問題ないようでほっとしましたw

    ランマルの本名「ミルク」は、前から考えてました。
    このギャグに使おうと思って、一番かわいい名前にしてみましたww受けて良かったです(笑)w

    傑作とは褒めすぎですよwwwありがとうございます^^
    ストーリーは、ほんと出たとこ勝負なので、破たんが心配ですが、なんとかなるでしょう。
    教官、書いていて楽しいです^^

  • イカズチ

    イカズチ

    2011/09/15 05:33:03

    イカズチです。

    いえいえ、全然おっけ~です。
    むしろ前章で大怪我をしたケマリのその後を書き忘れたので、逆に感謝と言いますか……情けな。

    ミ、『ミルク』!?
    ぶわぁっははは……。
    ランマルはずっとクールなイメージでしたので、このギャップが。
    また、教官が入った事で、より各キャラが生き生きと動き出してますね。
    この章は『コメディ』的にも、『ストーリー』的にも、傑作になると同時に波乱の予感がします。

  • 蒼雪

    蒼雪

    2011/09/15 00:36:23

    イカズチさんに断りなく、ケマリを出してしまいましたが、問題ない動きでしょうか?^^;
    どうしてもダメな部分がありましたら、ご指摘ください。修正いたしますので。
    よろしくお願いします。