ま、お茶でもどうぞ

蒼雪

日々感じたことを書いています。
なんとなく、徒然草。

モンスターハンター 勇気の証明~五章 03

自作小説

【昔取った杵柄】

「……そうだ、あんた達」
 教官やグロム達のやりとりを見て笑っていたミランダが、ふと何かを思いついたように唇の端を持ちあげる。
「次はこの人を――教官さんを連れて行っておくれよ。この人、全然お金払わなくてさあ。強制的に稼いで払ってもらわないと、こっちが商売あがったりだよ」
「ええっ、わたし達が教官と?」
「何を言う、女将!」
 ユッカが目を丸くする傍で、ダン、と教官がカウンターを拳で叩いた。
「女将は我輩を信用していないのかっ?」
「ああ、してないね」
 さらりと言って教官をコケさせると、ミランダはグロムとユッカを見やった。
「この人、いつもこうやって言いわけばかりでさ。このまま逃げ続けられても埒が開かないから、あんた達がお目付役になってほしいんだよ」
「それは……まあ、わたしはいいですけど」
 ユッカがグロムを横目でうかがう。グロムは、珍しく眉に皺を寄せて、まじまじと教官を見つめた。
「教官って、あの、雑誌『狩りに生きる』に、武器の連載してたこともある人だろ」
「ふふん。サインが欲しいか?」
「ちょ、いらねーよ! いらねーけど……」
 なぜかグロムは顔を赤くして、もごもごと口ごもった。ユッカが察して、教官に笑いかける。
「お兄ちゃん、教官の狩りの様子を見たいんですよ。ねっ、そうでしょお兄ちゃん?」
「ば、ち、ちげーよ! いや、違くないです! う、えーと、はい……み、見たいかも」
 あの泰然としたグロムが、しどろもどろに弁解する様子はおかしかった。ユッカは口元を押さえて、くすくす笑う。
「最近お兄ちゃん、すごく勉強してるもんね。ミーラルさんやわたしから『狩りに生きる』借りたりして。毎晩寝るのも惜しんで読みふけってたけど、教官のファンだったなんて知らなかったな」
「だから、ファンと違うって!」
「照れるな。気持ちはわかるぞ!」
 腕組みして、教官は何度もうなずいた。
「我輩も、貴様の年頃は、神技を披露するハンター達の動きを食い入るように見つめたものだ。先達の狩りを見て真似るのも、立派な修行。よかろう、次のクエストではぜひ我輩を呼ぶが良い。神がかったフレーム回避を見せてやる!」
「フレーム回避って何だ……?」
「さ、さあ……」
 わはははは、と腰に手を当てて高らかに笑う教官をよそに、グロムとユッカが顔を見合わせる。
 その後ろで、ミランダはどこか含むような笑みを浮かべて見守っていた。


 そんなわけで、ユッカとグロム、そして教官は、凍土にやって来た。受注したクエストは、
『凍土戦線・氷塊あり!』である。
 べリオロスとボルボロス亜種を狩猟する、やや過酷なクエストだ。
「……ありえねぇ」
 びょおおお、と寒風吹きすさぶ雪原にて、グロムはぼそっと呟いた。言った傍から、愚痴が真っ白な吐息となって唇からさらわれていく。
「……鬼人薬とホットドリンク間違えて持ってくるってありえねぇ」
「し、仕方ないだろ! どっちも赤くて似ていたのだ!」
 両腕で自分を抱きしめ、ガタガタ震えながら教官が怒鳴る。ウルクシリーズを着たユッカが、苦笑いしながら自分のホットドリンクを差しだした。
「はい、教官。これどうぞ」
「おおっ、すまんな! さすが気配り少女だ。将来良いハンターになれるぞ!」
「もうなってるって……」
 ドボル装備に身を固めたグロムが、兜の下でぶつぶつ言う。あはは、とユッカは困ったように笑った。
「でも教官、教官はその装備で寒くないんですか?」
 ユッカが指摘するのも無理はない。教官は、いつもの教官の頬当てに鎧という出で立ちだ。半そで短パンと露出が高く、雪山にはいささか不向きに見える。
「案ずるには及ばないッ。ホットドリンクの効果を忘れたか? これさえ飲めば、たとえユアミ姿でも風邪をひくことはないんだぞ」
「ま、まあそうなんですけど……」
 腰に手を当ててドリンクを一気飲みすると、教官は男らしく拳で口元を拭った。
「さあ、狩りに出向くか。我輩のフレイムテンペストも、獲物を狩りたくてうずうずしているぞ」
 教官の背には、炎属性のスラッシュアックスが背負われている。貴重な素材と強力なモンスターの素材から作る、希少な武器だ。ホットドリンクと鬼人薬を間違うような男でも、かつては超級のハンターだったのだ。
 伝説の強さを間近に見られる!
 ユッカとグロムは、口には出さなかったが、内心かなりわくわくしていた。ドスファンゴを蹴り一発で気絶させる力量、ぜひともお目にかかりたいではないか。
「敵はあそこだ! 行くぞ!」
「おおー!」
 仮にも指導者、教官の掛け声で鼓舞された二人は、彼に続いて真っ白な大地を駆けだした。


#日記広場:自作小説

  • 蒼雪

    蒼雪

    2011/09/27 09:10:48

    GRさん、コメント感謝です。

    前作等をやっていないので、その間違いエピソードはウィキの情報だけで知りました^^;
    機会があったらぜひ、前作一連やってみたいものです。
    教官のキャラ、とてもいいですよね!たまに声が聞きたくなって、訓練所の初心者講習受けに行ったりします(取材もかねて)
    一緒に狩りできたらいいですよね~。4でも登場してくれることを期待します^^

  • GR_Toyo

    GR_Toyo

    2011/09/27 01:52:43

    鬼人薬とホットドリンク・・・教官、またやっちゃったんですか^^;
    以前訓練生のアイテムポーチに同じことして死ぬ思いをさせたのに・・・

    あぁ、でも豪快な彼らしいなんとも悠々と闊歩していく様子がめに浮かびますな
    私も彼とクエストに出かけてみたいものです・・・

  • 蒼雪

    蒼雪

    2011/09/16 22:21:52

    イカズチさん、コメント感謝です。

    あーどうしよう。もう次回は書いてあるんですが、すごく……なっちゃいました!教官!
    なんせ、ドスファンゴを蹴り一発で気絶ですよ?
    これはもう、書く方も期待値120%です。気合い入れましたので、たぶん大丈夫かと。

    あっと、共通のアレね……あれはすっかり失念していました。あった方がいいかな?
    いや、ここは、ひとつ俺にお任せください^^;

    アニメのアイルー村、youtubeで見ました!すごくかわいくて面白いですね!
    俺が一番好きな回は、第一回目と、あのフンの話ですwww
    教官が35歳独身だということも、あれで初めて知りました。
    いつか、アイルー村もやらねばなるまい…w

  • イカズチ

    イカズチ

    2011/09/16 17:58:41

    おおお……。
    ついに『伝説の男の狩り』が見られるのか。
    一作目からプレイの私も見たことの無い、教官の狩りが。
    (但し、この教官は2から)
    期待が高まります。

    なにせこの人が動いてるのを見るのはアニメの『アイルー村』位なので。
    『教官の狩り』を描くのは蒼雪さんが初めてかもしれませんね。
    (ハードル上げちゃいましたか?)

    早々に……新人ハンターのやるようなミスを。
    でも『あの人ならやりそう』と納得出来てしまうのも人徳(?)なのかも。

    選択のクエはなかなか過酷な奴ですね。
    何がって……あれですよ、あれ。
    この二匹に共通の×××××。
    あのアイテムも忘れてなければ良いんですけど。

  • 蒼雪

    蒼雪

    2011/09/16 08:43:31

    まぷこさん、コメント感謝です。

    あはは、やっぱりそっちを予想されてましたか^^
    まあ、俺が初回で筆を尽くして書いているからにはレギュラーなんだろうと、ふつう思いますよねw
    ブランクは…公式設定(?)に基づきました。
    なので、たぶんそっちも予想通りかと…それでもお楽しみ頂ければ幸いです。

  • まぷこ

    まぷこ

    2011/09/16 07:24:13

    あ、やっぱり教官さんが連れ出されるんですね。

    ……ブランクが足かせになってないといいんですが。