キラキラ集め報告所

サーティーン

ニコッとタウンにあるキラキラを何処で手に入れたかの(ほぼ毎日)報告。あと、ニコッと関連の話をいくつか。

フェイトブレイカー!序章4

自作小説

『7歳の満月の夜の惨状』
フェムトはその出来事をこう名付け、明くる日にアロウに尋ねてみた。
アロウは「覚えてない」と真顔で答え、師匠から事情を聞かされると
「ごめんなさい」と涙を流した。
その日からフェムトは、日々彼の成長ぶりを書き綴るようになった。
(後にこれは『フェムト・レポート』として、賢者の学院に献上される事となる)


○陽暦1197年12月13日
今日はアロウの8歳の誕生日。
あの夜以来、定期的に聖水を浴びせる事で、アロウの身体に変化はなし。
終始儂の助手を努めておる為か、三つの言語の読み書きをマスターした。
その祝いと言う訳ではないが、ケーキを与えてあげたら、
本当に嬉しそうにそれを頬張った。
その様子を見ていると、あの惨状を忘れそうになる。
だが、今後も弟子の状況に注意を払わねばならぬ。


○陽暦1199年7月8日
アロウの成長ぶりは素晴らしい。
常人なら何年もかかる魔術の習得を、彼はいくつか習得した。
しかし、彼のそれは儂が習い、教えたそれとは微妙に違う。
ありていに言えば、「魔術に似て非なるもの」だろう。
これも彼の身体に流れる吸血鬼の血の力だろうか?


○陽暦1199年12月30日
例の“吸血衝動”は周期的でない事が判明した。
昨夜は新月だったというのに、あの変化が起こってしまった。
更に、以前と同じく聖水で対処したが、それでも変化は収まらなかった。
結局、石人形十数体を差し向けたところで、どうにか収まった。
無論、石人形は全て砕かれた後だ。
最後の一体を倒した後で疲れたらしく、倒れこんで眠ってしまった。
新しい対策を考えねばならぬ。


○陽暦1200年1月15日
どうやら“吸血衝動”は戦闘でも収まるらしい。
儂はそう考え、アロウに武器を与えてみた。
ごく普通の-魔術師が使う-両手杖だ。
彼は「ありがとうございます」とは言ったものの、
明らかに不満な表情を浮かべていた。
そして「作り直してみようかな?」との呟きに、
儂は妙に不安を感じた。


○陽暦1200年2月1日
全く予想通りだった。
「新しく作り直してみました!」
屈託のない笑みでアロウは、手にした大鎌を振り回していた。
その鎌は黒曜石でできていて、柄の上下には紅玉が埋め込まれている。
調べてみると、その鎌には魔力が込められている!
魔法の武器の製法なぞ、現代では失われていると言うのに、だ。
儂のどうやって作ったのだとの問いに、
「実は師匠の書物を見て、それを参考に…」
と照れ笑いを浮かべて答えたが、
儂は彼の持つ素質に愕然とした。
…この日記が歴然たる事実だと言う事を改めて記す。


○陽暦1202年1月1日
今日はある事を試みた。
儂の召喚獣-幻だが強力な力を持つ-とアロウとを戦わせて見た。
多少苦戦したものの、彼は見事に打ち勝った。
そして、彼が受けた傷は何の処置も施さずとも癒えている。
予想以上の結果に儂は只呆然とするだけだ。


○陽暦1204年6月6日
最近、アロウはちょくちょく塔を抜け出す。
それは別に問題はないのだが、この日は特別だった。
何と彼は五体の怪物-我々がジャックランタンと呼ぶ物-を、
連れて戻ってきたのだ。
「何だか懐かれちゃったみたいで…」
まるで野良犬に懐かれたような感じで言うアロウに、
私は恐怖すら感じていた。


○陽暦1204年12月13日
今日でアロウも15歳。
世間では成人と見なされる年だ。
儂は彼に礼服を与えた。
勿論彼は大喜び。
だが、彼を世に送り出すのには若干不安を感じる。
彼の力の全貌が判明するまで、もう暫く弟子として育てよう。

○陽暦1205年1月1日
このところ、妙にアロウの様子がおかしい。
“吸血衝動”とは関係がないが、本人曰く「調子が出ない」。
もちろんこれは彼が吸血鬼の血を引いている影響だろう。
儂は彼に暫く留守番をするよう命じ、賢者の学院へ出向くとする。
そこで吸血鬼に関するあらゆる情報を集めるつもりだ。

願わくば、留守中に“吸血衝動”に襲われる事がないように-。


○陽暦1205年1月15日
たった今、賢者の学院から帰還したところだ。
案じていた事態は起こってなくてホッとしているが、
それどころの話ではない。
どうやら吸血鬼は、自分の“生まれた”地の土がないと、
力が弱まっていくようだ。
恐らくアロウの不調はそれが原因だろう。
-迷った結果、儂は彼女の-リトルスノーの故郷へ行き、
その土を持って帰る事にした。
アロウが生まれた場所はこの塔の中だが、
生みの親である彼女の故郷は違うのだから。

○陽暦1205年7月7日
少ない情報を集めるのに苦労したが、
リトルスノーの故郷がわかり、その土を持って帰る事ができた。
と、同時にその棺桶も完成した。
すると、アロウの調子がみるみる回復した。
それを見て儂は安堵と不安が混ざった感情を抱かざるを得なかった。

…ただ、どうも最近ここが何者かに見張られている気がする。
これが杞憂でなければよいのだが。

  • みんみ

    みんみ

    2011/09/27 13:00:37

    読んじゃたぁ^^

    わくわく(#^^#)

    たのしみぃ^^v