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オリンピックの身代金

小説/詩

久々に読みました。


東京オリンピックの頃の日本の話です。

北京も、他の国もきっと同じようなことが起こっているのでしょう。

地方からの出稼ぎ人夫の犠牲の上に、箱物が急ピッチで作られ

都合の悪いことはすべて隠され

その上に華やかなオリンピックが開催される。



もちろん、普段はそんなこと考えもせず

ただただきらびやかな開会式をTVでゆったり見ています。

試合に夢中になり、選手を応援しています。



この作品は、悲しかった、切なかった。

主人公についてまわって、建設現場の様子、地方の農村の様子を見聞きし

主人公の、無機質なまでの心の動きに、憤りでもなく、哀しみでもない動機に

とても寂しさを感じました。


警察内部のいざこざは、もう今では、小説でも映画でも嫌というほど見ています。

それでも、最後に捕まえる刑事には、ほんの少し、人の気持ちを感じました。

キャラクターも、たくさん出てきて、それぞれに意味があり、

個性があり、伏線がありで、おもしろかったです。


最初は時系列に戸惑いましたが、日付をよく見て読むと、すぐに慣れました。

何年も遡るわけではないので。



おもしろかったです。