「どぉ～もー、金のボーヤでーす！」
「こんばんは、銀のボーヤでーす！」

「二人合わせて、金銀ゴマアエ ブラザーズですよ～」
「そーですよ～、金銀カマアゲ ブラザーズですよ～」

「って、言ってる間に、すっかり学園祭のシーズンになっちゃったね～」
「そうだねぇ。 学園祭 まっさかり！」

「あ、そういえば、銀ボーは、ヒツジ学園のファッションショーに参加してたよね？」
「そーですよ～、 第２ステージに、エントリーしてみましたよ～」

「それで、どうなの？ 審査員の方たちの反応は？」
「いまいちかなぁ…。 一週間でステキ３個だし」

「えー！ さすがの銀ボーも、苦戦してるかー」
「ちゃんと、『料理部』 っていう、テーマに合った服装を、したんだけどなぁ～」

「そうだねぇ。でも、ジャージってところで、意見が分かれたのかも？」
「そうかー。 エプロンも、着用すればよかったかなぁ～」

「そうだねぇ。でも、まさか、ボーヤカフェの制服で出るわけにもいかないしねぇ」
「うん。 ボーヤカフェの制服だと、ステキを集めすぎちゃって、ボーヤげないからね～」


「しかも、その服装で、ヒツジ学園の学園祭にも出店してたんだよね！」
「そーですよ～、土日に、ボビーボーヤと一緒に、やってみましたよ～！」

「それで、どうなの？ お客さんたちの反応は？」
「いまいちかなぁ…。 一時間でお客さん３人だし」

「えー！ さすがの銀ボーも、苦戦したのかー」
「うん。 何がいけなかったんだろう…」

「オイラ、行けなかった！ 行きたかったんだけど、いろいろ忙しくてー」
「となりの店には、お客さんが、たくさん来てたのになぁ…」

「え？ となりの店？」
「出店数が多いから、教室を半分に仕切って、オイラの店がハンバーグ、となりの店は、占いをやってたの」

「占い師が来て、やってたの？」
「そうじゃなくて、学生さんたちがやってたよ」

「え？ 学生が占いできるの？　あ、あの、５円に指をのせて、紙の上を滑らすやつのこと？」
「そうじゃなくてね、今やパソコンに名前とか、生年月日とかを入力すると、すぐに結果が出ちゃうんだって！
　それをプリントして、お客さんにあげてたの！」

「へぇ～、便利な世の中になったもんだねぇ」
「だよねぇ。 相性占い、動物占い、食べ物占い、前世占いとか、いろいろあって、行列ができてたよ！」

「なんて名前だったの？ その店？」
「え？ ひらがなで書いてあるだけで、特に、名前はなかったよ？」

「銀ボーの店は？」
「オイラの店は、わかりやすく、”ハンバーグ ” って書いた紙を、貼っておいたよ！」

「それだ！ 銀ボーの店に、お客さんが来ない原因は！」
「え？ どういうこと？」

「続けて読めばわかるよ！」
「え？ そうなの？」

「うらない」
「ハンバーグ」

「ね？」
「え？」

「うらないハンバーグ！　お客さんが、” あぁ、ハンバーグ売らないんだ～ ” って、思うじゃん？」
「思わないよッ！」

「こんな感じで仲良くやってます！ キンピラ ブラザーズですよ～！」
「そーですよ～！ いつも仲良し！ キントキ ブラザーズですよ～！」


「やっぱさ、学園祭で食べたくなる食べ物って、あると思うんだよねぇ」
「そうかー。 ハンバーグにしたのが、まずかったか…」

「え！まずくないよ！ 銀ボーのハンバーグは、超おいしいよ！」
「ちょっとおしゃれに、クレープ屋にすればよかったかなぁ…」

「♪運がいいとか～、悪いとか～」
「それとも、ちょっと、こじゃれた喫茶店風にして、パフェでも出すとか…」

「♪も～ぎ～たての果実の～、いい～ところ～」
「あ、それとも、ホットドッグの店もいいかなぁ？」

「♪愛がすべ～てさ、今こそ誓うよ～」
「ねぇ？ なんで、いちいち歌うわけ？」

「あれ？ だって、ミュージシャンの話をしてなかったっけ？」
「え？ してないよ？」

「だって、グレープと、パフィーと、ハウンドドッグって、言ってたじゃん？」
「違うよ！クレープと、パフェと、ホットドッグですッ！」