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陰陽師★瀬織津

自分の好きを表現し、具現化するところ

『稲生物怪録』その壱

その他

また、本紹介。

 『稲生物怪録』(いのうもののけろく)である。

さて、『稲生物怪録』とは何ぞやーという方に説明いたす。

寛延二年(1749)備後国(広島)三次(みよし)の稲生家で、七月の一ヵ月間に渡って起こった数々の妖異を体験した十六歳の少年平太郎の武勇譚として伝えているのが『稲生物怪録』であり、一連の写本、版本、絵巻などの様々な形で残されている。

妖異・妖怪が次々と現れ、最後には魔王「山本」(さんもと、と読む)が現れて、・・・となる。

実際、三次市歴史民俗資料館に行っても、ほんものの絵巻は展示して無かったが、それなりに楽しめた。何よりも資料として充実した図録が購入でき、大満足であった。

比熊山登山も計画しておったが、これはまた次回の楽しみとして。

兎に角、ハマりにハマった私はその後も関係文献をあれこれと読み漁ったので、ここで大々的に宣伝し、「平太郎総受」などと戯言を一緒に言って下さる方々を世の中に増やそうという魂胆である。(どなたか同人誌出してくれないかしら?)

まずは『書物の王国18 妖怪』に収められる平田篤胤編「稲生物怪録」の現代語訳を読もう。挿絵無し、文書のみ。わかる程度の文語体や言い回しを使い、江戸期の風味を壊さず、なかなかに味わいある仕上がりになっている。読み易さ故に先ずこの一編を読んで、取り敢えずその世界観に飛び込んで見るのじゃ。

いや、最初は形から入るという貴方には『稲生物怪録絵巻 江戸妖怪図録』。前半は『稲生物怪録絵巻』(堀田本)を全てカラーで紹介し、それぞれに現代語の説明を付けている。これで怪異の次第と妖怪の姿形はビジュアルに入る。後半は文字中心だが、柏本、「三次実録物語」さらに堀田本の詞書きをも収める。巻末に各本の内容比較「稲生家に出現した妖怪一覧」があり、読み比べには持ってこい。柏本の原文は平易な文体でどんどん読み下していけるが、平太郎自身が書き残したとされる「三次実録物語」は、成程武士が書きたるものにやあらむ、と言わんばかりの文語体が硬く、読み通すのに少々骨が折れる。柏本、「三次実録物語」には「稲生氏怪談之由来」(井丸本)の絵が挿絵として入っている。また堀田本の詞書きを読みながら再度前半の絵を見直すというやり方も有効であろう。やはり、現代文よりも旧文体の方が雰囲気が出て、引き込まれてしまう。

大雑把に「稲生物怪録」の世界を掴めてきたら、『稲生物怪録と妖怪の世界~みよしの妖怪絵巻』で細かなところを確認して行きたい。これは平成十六年に広島県立歴史民俗資料館で開催された「稲生物怪録」の特別企画展の展示図録。資料写真が多く、研究解説が良く纏まっており、見易く飽きない。後半の研究者の論文はマニアックに走りすぎて、いま一つ付いて行けないと箇所もあるにはある。これで千円とはかなりのお買い得なのだが、三次まで買いに行けというのは酷か。これ、通販して無いのかしらん?

文庫本で手軽に、と言う方には『江戸の妖怪絵巻』がある。個人蔵の『稲生物怪録』(画本)を全絵紹介しているが、そこは文庫本ゆえ墨一色で図版も小さく、迫力にはいささか欠ける。

  • abel

    abel

    2009/06/06 13:56:31

    物部村ではないのですが
    先祖が高知の南国、野市なので
    あのヘンにも太夫さんは今でもいます。

    昔は、葬儀の際は太夫さんが来て
    不慮の事故で亡くなった人などの時は
    口寄せをしてたらしいです。
    (母から、色んな不思議な話を聞きました。)

    うちは、武家の出なので屋敷に『管狐』を
    祭っていたそうですし・・・。
    四国ってほんと、不思議な場所ですよね~。
    平安時代の言葉がいまだ方言で使われてるしw





  • 陰陽師★瀬織津

    陰陽師★瀬織津

    2009/06/06 13:40:22

    abel 様の予想外な告白に「うへー」となっております。

  • abel

    abel

    2009/06/05 12:51:57

    そうです^^
    幼い頃から、おまじないとか習いましたが
    それって、土佐に伝わる例の陰陽師にかかわりのある
    流派のまじないでした。(わかりますよね?)
    今になって、色々聞いとけばよかったなーと
    後悔しきりです。

  • abel

    abel

    2009/06/05 11:58:50

    そ~ですねえ。
    京極堂ではないけれど、「この世に不思議なものはない」って
    考えなので、つい、分析してしまう悪いクセですw

    たしかに、家系が両親とも四国地方の太夫の家系なので
    幼い頃から、イロイロと祖母から不思議な話は聞いてましたし
    父方の曾祖父なんて、悪霊払いの際、悪霊に負けて亡くなった!とかねw
    だから、あえて客観視してしまうんですよね。。。
    人間の深層心理や民俗学そっち方面からどうしても見てしまう。
    ロマンがなくて、ゴメンねw

  • 陰陽師★瀬織津

    陰陽師★瀬織津

    2009/06/03 23:07:59

    abel 様
    集団ヒステリーとは少々味気ないのでは?
    こういうのは、「有ったら面白い!」と思ってみるものですよ。

  • abel

    abel

    2009/06/02 02:28:29

    平太郎少年(16歳、両親他界、病弱な義兄と幼い弟有)が
    江戸帰りの訳あり中年力士にそそのかされw
    百物語をした後、地元のオカルトスポット(比熊山の神篭石)へ出向く
    んでもって、そっから平太郎君の恐怖感&トラウマによる幻覚+幻聴。
    それをとりまく人々の集団ヒステリーからなる話だと思ってましたが・・・

    ストーリーとしては面白いですよね!
    山ノ本vs神ノ とか続きが聞きたくなるw
    それにしても、山ノ本さんは、律儀でなんだかカッコイイw