調子に乗って腐ってみました その3
腐った美女と野獣です^^;
湯あみを終えると、おれはベルを庭へ案内した。
こいつの親父が迷い込んだ、バラの咲き誇る庭だ。
人間の姿の頃からバラは見たり飾ったり贈ったりするのは好きだったけど、あの頃手入れは庭師の仕事であっておれがすべきことじゃなかったから、最初は世話の仕方もよくわからなくて苦労した。
それでも、おれなりに丹精は込めて育ててきたつもりだ。
「すごい、きれいですね」
目の前に広がる色とりどりのバラの庭を見て、ベルが感嘆の声を上げる。
一段高くなっているポーチから庭へと案内しようとしたところで、ベルがコケた。
お前…こんな低い段差でコケるって、随分器用な奴だな。
おれが呆れていると、ベルは恥ずかしそうに顔を赤くして、慌てて立ち上がった。
「あ、あの…このバラってご主人様が育ててるんですか?」
照れ隠しのつもりなのか、慌てたようにベルが庭のバラを見渡してそう問いかけてくる。つか、なんだよご主人様って…まあ、好きに呼んでくれていいけどさ。
「まあね。バラを育てるのって結構手間がかかるもんだけど、おれは時間だけはたっぷりあるから」
そう。この姿になってから年をとらなくなり、かれこれ500年。・・・あの頃は若かったなあ。
「そうなんですか。ご主人様って器用なんですね」
「器用?」
正直、咲き誇るバラの花を見せて器用と言われるとは思わなかった。
だから不思議に思って聞き返してみると、
「だって、その肉球のついた大きな手でこんなきれいな花を咲かせてますし、それに朝食の時もバターナイフの扱いが上手でしたし、すごいなあと思って見てたんです」
ベルはにこにこと笑ってそう答えた。
なるほど。言われてみればこのごっつい手でバターナイフを扱ったり、移植ごて握ったり、如雨露で水をやったり…そうか、おれって器用だったのか! 知らなかった。
「ご主人様がそんな風に手間や時間を掛けてきれいに咲かせたのにそれを盗もうとするなんて、本当にすみませんでした」
おれが新たな発見に感動していると、ベルがいきなりしょぼくり返ってそう言った。
「お父さんがバラを盗もうとしたの、本当は俺のせいなんです。俺がお土産に何がいいかって言われて花が欲しいなんて言ったから…」
おれはどうしていいか分からず、とりあえずベルの頭をぽふぽふと叩くと、
「でも、お前はただ花が欲しいと言っただけで、『バラの花』とも、『盗んでこい』とも言ってないんだろ? お前のせいじゃないよ」と、言ってみた。
なんだかなあ。
一人で暮らすのも厭きたし(ブラウニーはいるけど姿見えないし)、このままベルにいて欲しい気もするけどなんかそれも可哀そうだし。一週間ほど留めたら帰してやるとするかな。
安奈
2012/01/23 19:44:34
☪ りょう ☪ さん、今晩は。
きっと、ベルのどこかずれてるところが気に入っているのではないかとw
かわいいと言って…いや書いていただいてありがとうございます^^
シフォンさん、今晩は。
そう、天然なので野獣の外見を気にしていないんです^^
ありがとうございます。あと一回なので、よろしくお願いします~^^ゞ
シフォン
2012/01/23 17:40:43
ベルちゃんの天然っぽいところが可愛いです。
きっと純粋だから野獣さんのことが
よく分かるんですね~。
続き楽しみです♪
☪ りょう ☪
2012/01/22 22:23:47
おお?
野獣さんベルさんを気に入ってきていますな。
うわーどきどきする♪
野獣さんがベルさんの頭をぽふぽふする箇所が
かわいくて素敵です。