天使の棲む街

くりす

日々の事やら趣味の事、たまに気まぐれに短編詩とか徒然に…。

【ネタバレ含】八日目の蝉感想メモ

小説/詩

ドラマ、映画化以前から雑誌で知り、ずっと読みたいと思いつつ
機会がなくて未だに読んでいなかった「八日目の蝉」ですが
先日予約していた図書館から連絡が来たので早速借りてきて読んでみました。

一応あらすじは元々知っていてドラマは途中何話か抜けてますが半分位観てます。
映画は観てません。CMで観かけたシーン位の知識です。
…そんな感じでサラッと原作チェックのつもりで読んでみた感想文です。

まず、1章ですが意外にも読み難かったです。
暗いストーリーで若干テンポが悪いという事も無関係ではないとは思うけど
恐らく昭和末期~平成初期にかけての時代背景だったので
自分の記憶に照らし合わせて読むという作業を必要としたのが原因かな、と。
半端に自分が知ってる時代ってのは自分の記憶とすり合せて読んでしまうんでしょうね。
電話の描写とか、ラブホテルの描写とかw
そういう部分の不自然さはないかとかが気になってしまうのですよ^^;
ほら、自動精算器とかあったらちょっと違和感あるでしょ?(何

エンジェルホームの下りは、その特殊な施設という性質上
説明文が多くなりがちなのも敗因ですかね。
ただ、薫の描写が生々しくも可愛らしいのは作者の力量だと思います。

あ、そう言えば私もあまり記憶が定かじゃないですが
ドラマと結構相違点あるっぽいですね。
エンジェルホームから脱走を図る時、
窓から下りるのを怖がって泣く薫の気を紛らわすように自分の顔を見てと言って
手助けしてくれた久美の描写はドラマオリジナルっぽい事を初めて知った。
あの下り結構好きだったんだけどなぁ(´・ω・`)
あと、映画版の方で話題になった
逃亡の為に永作さんが自分の自毛を切り落とすシーンもなかったよ。
髪は切ってたけど、普通に美容院で切ってたしw

1章の終わりに希和子の一人称がフェードバックして薫(=恵理奈)の一人称になって
希和子の最後の叫びが2章に持ち越されるというくだりは好きな手法だし、
上手いなぁって思います。

2章は1章の深海のような重苦しさからうってかわって海上へ出たかのような軽快さで
サクサクと読み進む事ができました。
まあ、内容自体は割と重めなんですがね^^;

しかし、恵津子(薫の実母)まで○○していた事実ってのは必要だったんでしょうか?
自分も○○しといて希和子へはあんな暴言吐くとか屑過ぎる。
自分、最初は読者の立場によって希和子サイドと恵津子サイドの人間に別れる事を
作者は意識して恵津子サイドにも救いを持たせるのかと思ってたのですが…。
あまりにも駄目母描写過ぎて、
恵津子サイドの人間にも同情されないだろ!!って感じでしたね。
あれがあるばっかりに恵津子の屑さが目につきすぎて
まったく同情できないキャラに成り下がってましたよ。
まあ、○○していた伏線があっての希和子の逃亡が成功した事も事実なのですが。
薫(恵理奈)がそれをそれでも赦そうとしているのは
尊いと思わせる反面何となく良い子ちゃん過ぎて違和感。

ただ、妊娠が分かって堕胎そうと思っていたのに
新緑の頃に生まれると聞いていきなり産もうと決意する下りは、
賛否両論あるみたいですが、私は好きですね。
むしろエンジェルホームから脱走する希和子の心情と重なって
ストンと落ちて納得がいったかな。

あと、1章フェードバックからの~2章でのネタばらし。
ドラマで観ていて分かってはいたけれど
希和子が捕まる間際に叫んだ台詞に涙腺決壊(´;ω;`)ブワッ
ああ、そうだよなぁ…母親ってこういうもんだよなぁ。みたいな。

あ、ラストシーンもドラマとは似ているけど若干違いましたね。
どっちがいいか悪いかとかではなく好みの問題だとは思いますが。
ドラマの方がちょっと救いの部分が大きくて明るい終わり方だったかな。
でも締めの言葉が私好みなので原作もまたよし。

映画は…機会があったら観てみたいと思いますw

  • くりす

    くりす

    2012/03/14 00:45:07

    >りゅう様

    あぁ~、確かに映像には小説では到底太刀打ちのできない
    視覚と聴覚への訴えというのがダイレクトにできるというアドバンテージがあるから
    そこを最大限に活用した映画なら原作を超える事も可能ですね。
    仲居君が出演したドラマ版をちょこっとしか観た事なかったのですが
    そう言われると映画版がとても気になってきましたw

    「八日目の蝉」の映画版はまだ観ていないので
    色んな所のレビューを読んでの個人的な予想なのですが…
    多分映画の尺で全てを詰め込むのは無理があったんじゃないかと。
    部分、部分的にはかなりいい出来に仕上がってるとは思いますが
    全体像を知るのならやはり原作かドラマ版をチェックしてからの方がいいのかな~?と。

    ただ、逆に原作を知っていると自分の中で勝手に登場人物のイメージができてしまうし
    尺の都合上端折られた部分が気になったりする可能性も大いにあるので
    そういうのが嫌なら逆に原作より先に映画観るのをおススメしますw

    って、結局どっちつかずの意見ですみませんm(_ _)m

  • りゅう

    りゅう

    2012/03/12 22:22:36

    くりすさんの感想で読んでみたい作品だし、
    映像としては日本アカデミー10冠だし、

    観るか読むかどちらかの選択肢しか持たない僕には
    選び難い背反二律です。

    砂の器は終盤の交響曲宿命の
    回想シーンが壮大なスケールで、
    何度観ても視覚が感性に響きますよ。

    絶対にお勧めの作品です。

  • くりす

    くりす

    2012/03/12 18:11:20

    >sakino様

    ドラマや映画でかなり宣伝していたので読まなくても大体のあらすじは知ってる方多いですよね。

    観てから読むか、読んでから観るか…難しいところですねw

    ただ、この作品に関しては映画は原作読んだ後だとちょっと物足りないんじゃないかな~?と思います。
    結構長い時間を扱っているだけに2時間半かそこらでは描ききれないような^^;

    「砂の器」の映画は観た事ないですが、そのお話は私も噂で聞いたことあります。
    原作者に自分の作品を超えたと言わしめる映画なんてなかなかないですよね。
    そういってもらえた監督さんは監督冥利に尽きますね。

  • sakino

    sakino

    2012/03/12 17:22:30

    恥ずかしながらまだ読んでませんが 運よくドラマ何度か見て何となく知ってます

    重いテーマの作品ですね 昔『見てから読むか、読んでから見るか』ってキャッチコピーの

    CMがあったような・・・角川文庫だっけ??? まあ両方でその良さを感じられたら

    そそその昔松本清張さんの『砂の器』の映画版をご覧になられた松本清張さんは

    この映画は私の本(原作)を凌駕したとおっしゃったのが思い出されました。