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陰陽師★瀬織津

自分の好きを表現し、具現化するところ

咤枳尼天を祀る社寺 法伝寺 壱

その他

 真正極楽寺真如堂の山門前左手に「咤枳尼天」と刻まれた石柱が有る。ダキニ天を御存じの方は、寺域内に何故、こんなあからさまに「咤枳尼天」とあるのか、仰天してしまうことだろう。
 ダキニ天は、インドの農業神で、梵語「ダーキニー」の音訳。後に性愛欲を司る性質が与えられ、更に人間の肝や心臓を喰らう夜叉神として恐れられた。ヒンドゥー教のシバ神の妃カーリーの眷属とされ、人の人黄(じんおう)を食べる鬼類といわれた。人黄は頭部に有る物とか、心肝ともいわれる。ダキニ天は人の死を六ヶ月前に知り、人黄を喰らう魔物であった。人の死を待ち望み、病気になるように不摂生を仕向け、病気になれば治癒を妨げた。それを毘盧遮那仏(大日如来)が化した大黒天が責め、生きた人間でなく、死人の人黄を喰らうことを許した。
 ダキニ天は夜叉神であって、狐神ではなかった。ダキニ天と霊狐を結び付け、稲荷神と習合させたのは日本であり、本邦の特種信仰である。
 日本では、中世以降、天翔る狐に跨がった天女形として描かれるようになり、天皇の即位灌頂で祀られた記録も残る。
 ここの本殿裏、縁の下に、朱塗りの小さな鳥居を置いて扉がしつられてる。眷属の狐がお参り出来るように造られているのだろうか。明らかに人用ではない。狐穴を模したのだろうか、扉には丸く開いた窓が有る。窓の奥には一体何が見えるのか?

日本最初稲荷大明神 咤枳尼天尊略縁起
 大文字山を東に、またひときわ高くそびゆる霊峯比叡を仰ぎ、現存する鈴声山真如堂山門直ぐ左手に鎮座されます咤枳尼天尊は、弘法大師の御真作になる御尊像であります。
 その由来を尋ねまするに、吾が国において稲荷大明神として信仰される尊天は、皇統四十三代、元明帝の和銅四年(西暦七一〇年)初午の日、初めてこの土に出現されました次第であります。
 其の後幾星霜を経て皇統五十代桓武帝の在世、弘法大師出世にみぎり、稲を荷える老翁と化現し給はって天尊が所依の本誓願をお宣べになりました。それは「吾が本地咤枳尼天の真形を模刻し、あまねく衆生を利益、安楽ならしめよ」と大師に告げ給った次第であります。
 かくして大師は御自身一刀三礼の作法を以って咤枳尼天の御尊像を彫刻し給ったのであります。故に世人は日本最初の稲荷大明神と尊称し奉り、古来より多年にわたりあがめ祭られて現在に至って参りました。
 然るに明治維新の政策によって「神・仏判別の制度と排仏毀釈の風潮の波をかぶり、以来本地仏たる尊号咤枳尼天と唱え奉った次第であります。  拝するに、尊天の十九の大誓願のうち、一には諸病を除き、二つには福徳を授け、三つには敬愛威福を与え、十九には一切の希望を叶えて下さることが、此の天尊の大悲願であると記されています。
 この実例を見まするに、権現さまと呼ばれる徳川家康公は、此この天尊を深く信仰され、天下を治めるにいたり報恩の為め祭祀料壹百石を供えられました。
 亦当山丈室の先師、公尊上人は厚く此の天尊を尊信し、天堂に参籠(おこもり)され、大般若経六百巻を真読された結果、御結願の暁にこつ然と壇上に白狐が、宝玉を持って来たりて端厳微妙の童子に化身して告げることには、「此れは宇賀の宝珠也。上人の信心、誠を感応して是を授く、常にこの宝珠を護念せられば、影の形にしたがうが如く所求の願い成就しないと云うことはないぞ、夢々疑う事勿れ」と告げ終わって消え失せられました。
 上人拝受して御厨子に納め、内殿に安置、崇信されて今も存有し、当堂の神前に白狐手に捧げ持つのは、かかる謂(いわれ)であります。  又、往昔、刀匠三条小鍛治宗近は、当堂の尊天を深く信仰され、或時宝剣の作製を受け、清浄潔済し庭火を焚き尊天を祭り「ふいご」にかかったところ、白狐がいづこからか来って童子に化身し、相槌を打ちつつ、打鍛冶術の奥秘を授け給わった由来あり、以来三条小鍛治宗近の名誉天下にあらわれ、名工の名おおいにあがった。現在にても鍛冶職の家にて毎歳恒例として霜月八日に「ふいご祭り」と称して庭火を焚き、稲荷大明神を祭るはこのいわれがあるからであります。  遠き世代より今に至るまで当天尊に依って不思議の御利益を戴いた人々、多大なることは世人、古老の多く知るところであります。  御霊験の大略をここに御紹介致し誌す次第であります。
京都左京区浄土寺真如町八二 真如堂堂中 法伝寺
(由緒書きより)

  • 陰陽師★瀬織津

    陰陽師★瀬織津

    2009/06/22 23:06:04

    アマテラスが岩戸に隠れた時の黒い太陽の姿??

    何ですか?それは。初耳です。

    ダキニも奥が深いなあ

  • 斎

    2009/06/22 19:13:45

    ダキニ天って元々は農業神だったんですか…!
    人の肝を食らう事から魔多羅神と習合されたとか、アマテラスが岩戸に隠れた時の黒い太陽の姿だとか、真偽の定かでは無い色んな情報が氾濫してて詳しくは知りませんが…