蘭丸が行く

蘭丸

蘭丸が体験した日々、又、偉人(日本人)達が言ったセリフ“〇〇が言いましたシリーズ”を公開させて頂きます。

オカルトな夢をみた 中編

自作小説


30階を越えたあたりで疲労感が立ち込めてきた。 

あれだけ会話が弾んでいたのに 今では話す気力がない。

 足を一歩一歩前へ踏み出すのが精一杯だ。 

「キャア。」

 仲間の一人が突如悲鳴をあげた。

 階段を踏み外して転んだのだろうか?

 仲間に手を差し伸べる余裕がない。

 自分はかまわず前へ進もうとすると、

 仲間が自分を呼び止めるので仕方なく振り返ってみて驚いた。


 お前達一体誰だ?

 仲間達の姿がいない。

 かわりに髪の毛が白髪で、顔のしわが目立つ男女の老人達がいる。

 声は仲間達と同じだというのに・・・


 自分の手をよく見てみろ。

 老人の一声に自分の手のひらを見てみると唖然としてしまった。

 この手は一体誰の手だろうか?

 腕の筋肉がおちて細くなってしまい乾燥が目立ってしまっている。

 ゆっくりと手を動かし自分の頬へ触れてみると 

自分の肌とはとうてい思えないざらつきやしわが目立った。


 「どうした!?一体自分達に何がおこっているといるんだ!?

 誰か応えろ。お前達は仲間なのか!?」

 現状にとてもついていけなくなった自分は思わず怒鳴り込んでしまった。 

これは完全なる八つ当たり。

理解ができなくてとても腹がたつ。
 

「これはあくまで推測だけど・・・」

 一人がゆっくりと語りかけた。 

もしかして階段を昇って未来を知る代わりに

 リスクとして自分の身体も未来の時間に相異して老化するのではないか?

 だから体力の限界と感じる時=人生の最後の年齢がわかるのではないか?

 この語りかけにより一同は沈黙した。

 自分の身体が老化するなんて想定外だったから・・・

 将来を見ることを諦めて階段を諦めたら身体は元に戻るのだろうか・・・

 途中で力尽きて未来をみることができずに死んでしまうのではないか・・・

 恐怖がよぎってしまう・・・

 
「私、悪いのだけど・・・もうここでいい。」

 将来女優になるのだと語っていた仲間がポツリを呟いた。

 彼女の言葉は先駆けに続々と仲間達がリタイアを宣言する。

  ここでやめたければやめればいい。

 それが自分の意思なのであれば止める理由もない。

 自分はまだまだ上に行く。 



例え一人になってしまっても・・・


                       後編へつづく