「忍者物語」子供編10彩夜の事情
コーデは13歳の彩夜が踊りを習っている所です。
本編
寛太は戻ってくると精鋭の訓練の
若い男の中に入れられた。
家も精鋭達と一緒の村はずれにある
山の近くの家に入れられた。
お涼が部屋で一人になると色々な女が夜、
休みに来た。
普段は他の女と2人か3人部屋でお涼が相手だと
気を使わないでのんびりできる様だ。
ごろんと横になる女もいるし、
昔の事を懐かしく話す女も居た。
彩夜のしている事は誰もが気が付いていた。
だが、長の手前強く注意も出来ない。
可哀そうだとは思って居たと慰められた。
がそれ以上に彩夜の母親はもっと可哀そうだったが、
此れが止められなかった自分達を
情けないと思うとも言った。
其の一人の元々は既に亡くなった領国の
出城の飯炊き女だった夜音は
15歳の時に村長と此処に来た。
其れは今から18年前の事だった。
お涼が来る5年前の事だった。
夜音達の居る国で戦が続いていた。
夜音達は城とは別の出城に行かされた。
出城には其の国の息子と其れが率いる侍が居たが、
自分達が時間稼ぎをしている間に
近隣の国へ助けを求める伝令を出すと言う
手筈だった。
自分が捨て石にされると解った其の息子は
さっさと侍を率いて城に逃げ帰ってしまった。
出城と言っても簡単な石垣と砦を築いただけだった。
今の長の雅辰が27歳の時だった。
彼が其の出城の責任者として残された。
彼の父親はとうに戦士しており、
母親も嫁に行った妹も嫁入り先で
死んで彼ひとり残されていた。
彼もやはり捨て石だった。
そして同じく二人の前の闘いで
身よりの無くなった順崎平一郎と本村健三と言う
二十歳の侍が居た。
其の出城と呼ばれた砦に残されたのは殆どが
農家か他国の敗れた国から流れて来た
若い14歳から16歳の足軽成り立てと
夜音の様な親のいない若い13歳から15歳の
女達の飯炊き女しか残されて無かった。
死ぬ事を前提として選ばれた
この国に縁者のいない者ばかりだった。
其れでも、何とか戦おうと夜通し石垣を
高くして上から狙える様にしたり、
登って来るものへ投げる石を
運んだりして敵に備えていた。
夜音達も一晩中米を炊いたり、
汁物を作ったりして
緊張して待っていた。
所が待てど暮らせど敵は来ない。
敵は忍者を使って調べていて、
何と山を抜けて別の道から直接城へ向かって
気が付いた時は城は落とされて、
ほとんどが殺されていた。
城の形も無く、焼け落ちた城を遠くから見て、
戻っても無駄だと判断して
出城に雅辰達は戻ってきたが、
これから行く当てもない。
自分達は名前もあり、
他国に拾われるのも恥、
腹を切るが、足軽成り立ての無名の若者は
どこかで拾われるかもしれない。
かと言って殆どが行く当ても無いだろうと
自分が知っている荘園領の神社の神主に
侍の三人は皆を引き連れて相談に行った。
次の雇い主を探して貰って、
自分達は城の見える所で
腹を切ると神主に伝えた。
ちょうどその頃、神社が間に入って
別の両国に入っていた元修験者も入った
忍者村の忍者が村ごと潰されて、
生き残ったわずか三名が神社の隣の寺に
身を寄せていた。
神主は両方を引き合わせて、
どこかに新たな村を作ったらどうかと持ちかけた。
村が安定する1年ほど、金銭的に援助する。
其の変わり、安定したら、
此の荘園領を守る忍者集団になると言う申し出を
受ける事になった。
此の山奥に住み、切り開いて田畑を作りながら
若い足軽達は三人の忍者を師として忍者の修行を
して行った。
やがて正辰が村長(ムラオサ)になった忍者村が出来た。
順崎平一郎は順平と呼ばれ、
本村健三は健三と呼ばれて精鋭を
今の長の正辰と棟梁として率いていた。
私らも一人のくノ一に忍者の修行を受けて、
次の年は戦いに出たが
怪我をしてかえって来たと夜音は笑いながら言った。
其々の二つの精鋭を率いていた忍者の業を教えた
二人の忍者は戦いの中で死んでしまったが
片腕を失ったくノ一が古くなった着物を割いて、
機織りをしたり、其れでも忍者の業を教えたりしていた。
夜音の様に元飯炊き女だった者は
怪我をして戻ってくるとまた
飯炊きの仕事に戻った。
怪我をしないとまた仕事をし続けたり
精鋭より楽な一座だけの仕事をしたりと色々だった。
お美津だけが酷い怪我だと思われたが
最後はまた今の精鋭の仲間に戻った。
其の為にお美津は別格扱いだった。
村を作り始めて一年後、
幾つかの闘いを経験して
其の後、何人かどこかの潰された
忍者集団から若いのを引き入れた。
彼らを中心に今の精鋭が作られた。
何とか忍者村となった二年後の二人の忍者が
死んだ直後の大きな戦の沢山の忍者村に声が
掛かった大きな仕事だった。
其の領国は広い両国内に忍者村を抱えていた。
其の国を滅ぼすという事は其の忍者村も
滅ぼすと言う事だった。
其の国に支配される事を恐れた廻りの3つの
小さな国との戦いで何処の忍者がどこの国に
雇われていたのかも解らない程混乱の中で
唯、其の敵の国の忍者だけと忍者村を
潰すのが幾つかの其々の国から雇われた
忍者達の仕事だった。
何度かの戦いの末にどこかの忍者集団が
其の村を潰したと連絡が入った。
後は僅かに逃げ延びた其の村の
忍者を見つけて殺すだけだった。
彩夜の母親が捕まった時はまだ14歳の
それはきれいな娘だった。
長がその子を連れて来た時は
誰もが驚いたが、夜音達は
其の子が正辰の嫁ぎ先で戦に巻き込まれて
死んだ妹の面影が在ると聞かされた。
其れでも、規律違反は違反である。
蟠りは残った。
一人残った元々の忍者だった
くノ一のお蔦がこうなったら仕方ない。
村の中だけの極秘として座敷牢に入れた。
それが手籠め同然に当時倍以上年上の
長の子供を産まされた。
女達は彩夜の母親に同情した。
彩夜の母親が彩夜が乳を離れると、
動けた一人のくノ一お蔦と言う
今機織りをしている女が
彼女を指導して使える様になると
良く彩夜の母親と他の若いくノ一を
率いてお蔦が仕事に行った。
彩夜は人質同然に母親に誑かされたくノ一が
裏切って連れ出さないかを疑われて、
家に閉じ込められて常に見張られていた。
可愛そうにと思ったが、
それにも誰も何も言わなかった。
お蔦が怪我をして仕事に出れなくなると
彩夜の母親が率いて仕事に出た。
彩夜の母親はもともと忍者として
小さい時からくノ一の色々な仕事を
知って居たからだ。
私達は長と彩夜の母親が居なければ、
こうやって生きている事は出来なかった。
だから彩夜が我儘だと思って居るが、
強く言えないのだとお涼に伝えた。
寛太と自分が外で走り回っているのを
じっと見ている女の子が居たが、
足でも悪いのかと思って居た。
彩夜様と呼ばれて居たので
どこかの姫が捕まっているのかとさえ
思った事もあった。
そう行った事情があったのだ。
だからと言って彩夜がしている事が
許されない事に変わりは無かった。
のたもた
2012/06/17 23:58:24
レイダ 様
夕奈は子供時代に侍の子の誇りと覚悟を母親に教え込まれて
育ちます。
其れが、侍の子の親の仇を討つに繋がります。
お涼は自分の身分を知りません。
寛太と同じと思って育ちます。
くノ一達も母性本能を二人を可愛がる事で
満たします。
男達も父親や兄の気持ちを二人に感じます。
厳しい死と隣り合わせの闘いの後に
無邪気に自分達に怖がらずになついてくる
二人に癒されます。
レイダ
2012/06/17 23:33:23
忍者村がどうやって作られたか
彩夜の母親のこと・・
いろいろと事情がわかってきました。
彩夜もだからってこんなことをしていたら・・・
夕菜に期待!