うみきょんの どこにもあってここにいない

うみきょん

日々のはざまについて、
地上でみた夢の記憶、
地中で見られた眠りのすきま、
絵画や小説、想像世界、花たちなどについて
静かに渡りを記述しています。

『猫町』の、二つの面

小説/詩

「一つのものが、視線の方角を換えることで、二つの別々の面を持ってること」
(萩原朔太郎『猫町』)

田んぼ湿地と呼んでいる近所の公園の田んぼ
(まだ早い稲の苗の間から水が見える)
を、いつもと別の方角から写真に撮る。
紫陽花と田んぼ湿地に苗の間から見える、映った空と、
張った水の下の土が
凝縮のように立ち寄って、
見知らぬ湿地を作っている。