うみきょんの どこにもあってここにいない

うみきょん

日々のはざまについて、
地上でみた夢の記憶、
地中で見られた眠りのすきま、
絵画や小説、想像世界、花たちなどについて
静かに渡りを記述しています。

あるいはプシュケとヤブカラシ

小説/詩

先日名前を教えて貰ったヤブカラシ。
今日は空き地で見た。
一面びっしり、ほとんどヤブカラシの花園だ。
カナムグラ、昼顔もちらほら。
みんな荒れ地に咲くものばかり。
かつてここに住んでいた人たちは
どこにいったのだろう。
黄アゲハと黒アゲハが、まるでつがいのように
オレンジの粒々の花の上をひらひら飛び回っている。
互いに交信しあうみたいに、
小さな荒れ地の何かに名残を惜しむみたいに。
魂の象徴といわれるのがわかる気がした。