☆皇帝のいない八月
現実にこのようなことはあってはならないのですが、映画のストーリーとしては非常によくできたものだと思います。
【スジ】
真夏の夜にパトカーが機関銃の乱射を受けて炎上するという事件が起こる。これが事件の始まりであった。
陸上自衛隊、警務部長の江見為一郎(三國連太郎)は郷里で亡妻の墓参中、内閣情報室長の利倉保人(高橋悦史)からパトカー炎上事件の連絡を受けた。さらに、自衛隊内外の不穏分子を列記したリストの中に昔の部下であり、一人娘杏子(吉永小百合)の夫である藤崎顕正(渡瀬恒彦)の名を発見する。江見は帰京の途中、杏子を訪ねるが、藤崎に不審な点はないという。しかし、江見が去った後、藤崎から東京に行くという手紙が届くのであった。
その日の博多駅で、石森宏明(山本圭)は取材を終えて列車を待っていたのであるが、かつての婚約者であった杏子と再会する。そして、二人を乗せたブルートレイン「さくら」は東京に向けて出発した。
そのころ東京首相官邸では、佐林総理(滝沢修)を囲んで緊急会議が開かれていた。利倉の報告によると、大規模なクーデターが起こりつつあるという。
一方、「さくら」ではどうも様子がおかしいという石森の要請で、列車の点検が行なわれるが怪しい点は見つからなかった。その直後、石森と杏子は一号車に連れて行かれたのであるが、そこにいたのは藤崎であった。
ところで、内閣情報室の分析でクーデターの黒幕として大畑剛造(佐分利信)の名が上がり、その繋がりから真野陸将(鈴木瑞穂)の名も上がった。さっそく、江見は真野を逮捕して拷問を加えるが、真野は舌を噛み自殺してしまう。しかし、江見は真野の車の天井から「皇帝のいない八月」と題されたクーデターの計画書を発見する。そして、佐林首相はクーデターを鎮圧させたが、「さくら」のみが残った。他の部隊の鎮圧を無線で確認した藤崎は作戦に切替えた。人質を盾に「大畑を出せ」と政府を脅迫するのであるが、肝心の大畑は東京から消えていた。
そして、なすすべのない事態にとうとう乗客も巻き込んだ鎮圧作戦が決行された。
※その後の結末は、面白みが半減するので映画を観てください。