雨
窓を開くと、どこも雨模様。
だいたいの家の上には雨雲が
厚く垂れ込めていたり、そうでもなかったり。
たまに雨を降らせるのはいいけれど、
そんなに降らせると心の木がねぐされしてしまうよ、なんて。
そう言う私の家はずっと夜で、
陽の光はたまにしか差さない。
そんな、たまにしか差さない陽の光で
誰かが救えるなんて思っていたのは昔の話。
身の程知らずは身の程を知って、
窓枠に肘をつき、ため息をひとつ。
ぽつり、と雨粒がひとつ落ちてきた。
でもね、本当は知ってるんだ。
心の木は、そんなに脆くないってことも。